2005 Fiscal Year Annual Research Report
気管切開患者における嚥下機能障害の機序に関する研究
Project/Area Number |
16591716
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
鮫島 靖浩 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (50206009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯本 英二 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (40116992)
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Keywords | 嚥下障害 / 気管切開 / 声門下圧 / 嚥下造影 / 誤嚥 |
Research Abstract |
気管切開患者における嚥下機能障害のうち、とくに誤嚥と声門下圧の関係について検討した。対象症例は頭頸部腫瘍の術後7例、脳血管障害1例、声門下喉頭炎1例の計9例である。いずれの症例も気管切開が閉鎖可能となり、経口摂取も開始可能となる時期に嚥下造影検査による嚥下機能評価と声門下圧測定を行った。気管切開カニューレは、栓またはスピーチバルブを装着して呼気や発声が可能となるスピーチカニューレを用いた。声門下圧の測定は、スピーチカニューレ内の圧をチューブに栓をした時としない時に分けて測定した。安静呼吸から吸気を行い息を止めて空嚥下し息を吐く一連の動作を測定した。スピーチカニューレに栓をしない状態では、呼吸による圧変動があるものの嚥下時には明らかな圧上昇は見られない症例が多かった(0.9±1.4mmHg)。これに対し、スピーチカニューレに栓をした状態では、栓をしない時に比べて有意な圧上昇を認めた(6.1±2.4mmHg)。また、発声時や咳の時にはさらに高い圧上昇を認めた。 これらの症例のうち7例については嚥下造影検査にて誤嚥の有無を検討したが、スピーチカニューレに栓をしない状態では咽頭残留物が誤嚥する所見が観察された。一方、栓をした状態では、誤嚥は少なく、誤嚥が見られた場合でも咳で喀出可能であった。すなわち、気管切開が閉鎖されると声門下圧の上昇により誤嚥防止が可能で、少量の喉頭侵入や誤嚥であれば咳で排出可能であった。 以上より、気管切開症例で経口摂取を開始する場合には、気管切開が閉鎖できる状態になった方が有利であり、少なくともスピーチカニューレに栓ができる状態で、息止め嚥下や痰の喀出を行なわせることは気管切開患者の嚥下リハビリテーションに有用と考えられた。
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Research Products
(4 results)