2004 Fiscal Year Annual Research Report
細胞死抑制強化蛋白質の細胞内導入による新たな内耳保護治療法の開発
Project/Area Number |
16591731
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
渡邊 健一 日本医科大学, 医学部, 講師 (80281434)
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Keywords | シスプラチン / 内耳障害 / 細胞死抑制蛋白質 |
Research Abstract |
【1.方法】 C57/BL6オス、4週齢のマウスを用いて実験を行った。 シスプラチン投与群、シスプラチン+細胞死抑制強化蛋白質(FNK)投与群、FNK単独投与群およびVehicle投与群に分けて実験を行った。シスプラチンは17mg/kgを1回投与、FNKは5mg/kgをシスプラチン投与3時間前、1日および2日後に投与した。聴力は聴性脳幹反応検査を用い、投与前および7日後に測定した。 【2.結果】 (1)生存率 シスプラチン単独投与群では7日目20%であったのに対し、シスプラチン+FNK投与群では60%であった。 (2)聴力閾値の変化 シスプラチン単独投与群では28±2.5dBSPLが7日後には37±7.6dBSPLと有意な閾値上昇を認めた(paired-t,p<0.0099)。これに対し、シスプラチン+FNK投与群では25±0.0dBSPLから25±0.0dBSPLと変化を認めなかった。 (3)FNKの抗癌作用に与える影響 A549担癌マウスを用いてシスプラチン投与後の腫瘍体積増加率を測定した。対照群では腫瘍の増大を認めた。しかし、シスプラチン投与群およびシスプラチン+FNK投与群では腫瘍の増大が抑制され、シスプラチン投与群とシスプラチン+FNK投与群の間に差は認められなかった。 【3.考察】 以上の実験結果よりFNKはシスプラチンの内耳障害を軽減すると同時にシスプラチン自体の抗癌作用を低下させないと推測された。
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