2005 Fiscal Year Annual Research Report
眼圧、神経保護及び眼表面への影響を加味したEBMに基づく緑内障薬物選択基準の作成
Project/Area Number |
16591738
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
大黒 幾代 弘前大学, 医学部, 講師 (90305235)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大黒 浩 弘前大学, 医学部, 助教授 (30203748)
中澤 満 弘前大学, 医学部, 教授 (80180272)
間宮 和久 弘前大学, 医学部附属病院, 助手 (60344610)
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Keywords | 抗緑内障点眼薬 / 神経保護効果 / 眼表面組織 / N-methyl-D-asartate / 細胞外マトリクス / α受容体 / 網膜神経節細胞 / glial fibrillary acidic protein |
Research Abstract |
目的:抗緑内障点眼薬を選択する際、眼圧下降効果のみならず、神経保護効果及び眼表面組織に対する影響等、多くの因子について考慮しなくてはならないが、現時点で統一された見解はなく薬物選択は医者の裁量に委ねられている。そこで我々は、将来的なEBMに基づいた抗緑内障点眼薬選択基準の作成に向け、抗緑内障点眼薬の眼表面及び結膜における細胞外マトリクス(ECM)代謝への影響についてまず検討した。その結果、現在臨床で使用されている抗緑内障点眼薬の中に、結膜のECM代謝に影響を与える薬物があることを突きとめ、これらが将来の濾過手術効果に影響を与える可能性を示唆した。今回は抗緑内障点眼薬の網膜への影響について組織学、生化学及び分子生物学的に検討した。 方法:N-methyl-D-aspartate(NMDA)をラット硝子体に注射して緑内障モデルとし、これに各種抗緑内障点眼薬を2週間点眼し、網膜組織の厚さ、網膜神経節細胞(RGC)数、microarrayによる遺伝子発現の変化等について検討した。 結果:NMDA注射により網膜厚は減少しglial fibrillary acidic protein(GFAP)の発現が増加した。β-遮断薬やプロスタグランディン誘導体の点眼により網膜厚、RGC数及びGFAPの発現に影響はみられなかった。一方、α/β遮断薬、α_1遮断薬およびα_2刺激薬の点眼では、網膜厚とRGC数の保存効果およびGFAP発現増加の著明な抑制効果がみられ、またmicroarrayによりinsulin-like growth factor(IGF-1)とErbB3の2遺伝子の発現に変化がみられた。 考察:α受容体に作用する抗緑内障点眼薬、すなわちα/β遮断薬、α_1遮断薬およびα_2刺激薬はNMDA網膜傷害に有益な影響を及ぼすことが判明した。 結論:α/β遮断薬、α_1遮断薬およびα_2刺激薬には、緑内障網膜保護作用を期待できる可能性がある。
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Research Products
(7 results)