2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591750
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
生野 恭司 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50294096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五味 文 大阪大学, 医学系研究科, 講師 (80335364)
大島 佑介 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (20362717)
田野 保雄 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (80093433)
大路 正人 滋賀医科大学, 医学部, 教授 (90252650)
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Keywords | 強度近視 / 牽引性網膜剥離 / 中心窩分離症 / 光干渉断層計 / 微小視野測定 / 網膜感度閾値 / 網膜血管 |
Research Abstract |
強度近視眼では眼内の線維性増殖によって黄斑部に前膜を生じ、黄斑円孔網膜剥離や中心窩分離症をきたす。本年度は中心窩分離症において線維性増殖および他の因子による影響がどの程度あるかを検討した。まず初めに強度近視に伴う中心窩分離症症例の術後の黄斑部網膜形態を光干渉断層計で観察した。硝子体手術によりほぼ全例で中心窩の網膜分離は軽快したが、術後6ヶ月の時点で約7割の症例に中心窩から2-300μmに網膜による微小な皺襞を認めた。この皺襞は検眼鏡的に観察しても発見し得ないほど微小で、多くは垂直方向でなく水平方向に走行していた。この微小皺襞の原因と眼底上の正確な位置を検討するためOTI社のOCT-Ophthalmoscopeを用いて同様の症例をさらに検討した。その結果網膜微小皺襞の位置は網膜細動脈と一致し、網膜血管が洗濯紐様の牽引力で網膜を吊り上げていることがわかった。すなわち強度近視眼では眼軸の延長に伴って網膜組織も伸展を余儀なくされているが、網膜内組織でも細動脈は硬化性病変などにより伸展性が低いと想像される。この易伸展性の違いが結果として網膜血管による内方への牽引力を生じ、最終的に中心窩分離症を生じているのではないかと考えられた。さらに検討を重ねると、中心窩分離症の術後だけでなく、非硝子体手術眼でも約3%の症例に網膜微小皺襞を認めることが判明した。この微小皺襞部位における網膜の感度閾値を眼底の位置をモニタしながら測定できる微小視野計を用いて検討すると、網膜皺襞部では周囲の網膜よりも光に対する感度が低下していることが判明した。すなわちこの網膜微小皺襞は中心窩分離症の病因を示すたんなる形態的な所見だけでなく、視機能低下をもたらしえる疾病でもあり、今後治療法の開発や検討が必要になると思われる。
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Research Products
(10 results)