2005 Fiscal Year Annual Research Report
「良い血管基底膜」が糖尿病網膜症を抑制する-血管内皮特異的ラミニンの役割-
Project/Area Number |
16591755
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
草地 省蔵 岡山大学, 医学部・保健学科, 教授 (30214943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 善文 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70126241)
廣畑 聡 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (90332791)
白神 史雄 香川大学, 医学部, 教授 (50187530)
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Keywords | 細胞外マトリックス / ラミニン / 糖尿病網膜症 / 基底膜 |
Research Abstract |
糖尿病網膜症は、新生血管の増生と共に、出血などの血管透過性の脆弱性及び亢進を伴う。本研究の目的は糖尿病網膜症の新生血管増生に関する血管基底膜の役割を明らかにし、血管基底膜成分ラミニンの制御による異常新生血管の抑制を検討することである。具体的には、血管基底膜と血管透過性の維持性に注目し、基底膜の構成成分であるラミニン・工V型コラーゲンの糖尿病網膜症進展への影響を検討した。 1.糖尿病網膜症を規定する基底膜成分の破壊状況 ストレプトゾトシン(STZ)180mg/kgを腹腔内投与し、糖尿病マウスを作成した。静脈血中の血糖値を測定し、250mg/dl以上の高血糖状態が持続していることを確認した。糖尿病網膜症における基底膜の破壊状況を解析するために、血管透過性を指標に、エバンスブルーおよび蛍光デキストラン、フルオレセインをそれぞれ糖尿病マウス対照マウスに投与し、眼底写真を撮影、あるいは網膜展開を行い検討した。その結果、明らかにleakyな状態である血管は網膜には確認されなかった。 2.網膜における基底膜成分の変動解明 本動物モデルの網膜において、IV型コラーゲンα1-α6鎖までの特異的抗体およびラミニンα4鎖及びα5鎖に対する特異的抗体を用いて、免疫染色を行い、網膜血管における局在を検討した。網膜血管基底膜では、IV型コラーゲンα1α2鎖の発現が見られた。また内境界膜ではα1α2鎖に加えて、α5α6鎖の局在も確認された。一方、色素上皮層を裏打ちする基底膜成分では、α1α2に加えて、α3α4α5鎖が存在することが明らかとなった。 3.糖尿病綱膜症を規定する基底膜成分の変化が与える網膜症の進展への関与 糖尿病網膜症動物モデルに対し、基底膜成分が変化した場合に、網膜症の進行に影響を与えるかに関しては、ヒト病態に即した糖尿病網膜症モデル動物の作成が最重要と考えられた。
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