2004 Fiscal Year Annual Research Report
実験的脈絡膜新生血管に対する水溶性光感受性物質を用いた光線力学療法の検討
Project/Area Number |
16591770
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中島 正巳 日本大学, 医学部, 講師 (50297826)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
湯澤 美都子 日本大学, 医学部, 教授 (60139160)
|
Keywords | 脈絡膜新生血管 / 光感受性物質 / 光線力学療法 |
Research Abstract |
サル眼に実験的脈絡膜新生血管(CNV)を作製した後、従来の報告より少量(2.5mg/Kg)の両親媒性光感受性物質ATX-S10(Na)(ATX)を用いた光線力学療法(PDT)をおこない、網膜・脈絡膜への障害なしに選択的CNVの閉塞が得られるPDTの設定について検討した。 PDT後1日:ATX投与後5分でPDTをおこなった場合に網膜血管の閉塞が生じた。また投与後15,25,35分で照射エネルギー量を60J/cm^2にすると網膜血管の閉塞が生じた。投与後5から36分で照射エネルギー40から60J/cm^2でPDTをおこなった場合CNVの閉塞はなかった。この時、病理組織ではCNV内の血管に血栓形成が見られなかった。 PDT後7日:早期・後期ともにCNVからの蛍光色素の漏出は減弱しているものの過蛍光が見られ、CNVの閉塞はなかった。病理組織ではCNVの線維化が進んでいた。 投与後早期に網膜血管閉塞が起きた理由として早期ではATXの血中濃度が高く、PDTにより血管内皮細胞に障害が生じたと考えた。また、CNVを閉塞させるため照射エネルギー量を多くしても網膜血管に障害が生じた。その他の設定では網膜血管の閉塞は生じなかったもののCNVも閉塞しなかったことから、今回の2.5mg/Kgという投与量ではCNVの選択的閉塞は得られないことがわかった。今後は投与量をもう少し増やすこと、もしくは投与から照射までの時間を長くして照射エネルギー量を増やすことを考えている。 ATXを2.5mg/Kg投与してサル眼のCNVにPDTをおこなったがCNVの選択的閉塞は得られなかった。ATXの臨床応用に向けて網脈絡膜組織に影響のないPDTの照射条件のさらなる検討が必要である。
|
Research Products
(1 results)