2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591774
|
Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
緒方 奈保子 関西医科大学, 医学部, 助教授 (60204062)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 光正 関西医科大学, 医学部, 助手 (40333215)
|
Keywords | 糖尿病網膜症 / 血管新生 / PEDF / VEGF / 血小板由来マイクロパーティクル / 血小板 / 糖尿病 / 単球由来マイクロパーティクル |
Research Abstract |
糖尿病性網膜症は,成人失明の第一位をしめる。2型糖尿病自然発症ラット(SDTラット)で網膜症発症の機序を検討したところ、ヒト増殖糖尿病網膜症に似た新生血管を伴う眼内増殖組織の形成がみられるものがあった。しかしながら、網膜新生血管の発生はまれで、ヒト糖尿病網膜症と異なり、眼底に毛細血管床の閉塞による無灌流領域が見られないことが特徴であった。また、SDTラット網膜におけるPEDF(pigment epithelium-derived factor)、VEGF(vascular endothelial growth factor)発現の検討した結果、血管新生阻害因子のPEDFおよび促進因子のVEGFともに発現が増強していることがわかった。無灌流領域の形成には白血球と血管内皮との接着(leukostasis)が重要でそれにはinercellular adhesision molecule-1(ICAM-1)の作用が大きい。そこでSDTラットおよびstreptpzotocin誘発糖尿病ラット(STZラット)における網膜のleukostasis、さらに血漿中のPEDFとICAM-1発現を検討した。その結果、STZラットではSDTラットよりもleukostasisが亢進していたが、ICAM-1レベルは有意差がなかった。一方、PEDFはSDTラットの方が有意に高レベルであった。このことから高レベルのPEDFがleukostasisを抑制し毛細血管床の閉塞を阻害している可能性が示唆された。 ヒト増殖糖尿病網膜症の組織を検索すると活動生の高い組織では、VEGFとともにPEDFの発現が亢進していたが、活動性の低い組織では、どちらの発現も低下しており、網膜症の活動性にPEDFおよびVEGFが関与していることがわかった。 単球由来マイクロパーティクル(MDMPs)はから放出され、血栓形成を促進すので、糖尿病合併症の進行に重要と考えられる。糖尿病患者のMDMPs、血小板由来マイクロパーティクル(platelet-derived microparticles : PDMPs)、活性化血小板(CD62p、CD63)を測定し網膜症進展との関係を検討した。MDMPsはPDMPs、活性化血小板と相関がみられた。さらに、MDMPsは糖尿病網膜症の進行に伴い増加傾向がみられ、特に毛細血管床の閉塞を有する群で有意に増加していた。このことから、MDMPsが糖尿病網膜症を進行させる因子であると考えられた。
|
Research Products
(7 results)