2004 Fiscal Year Annual Research Report
生体内分離肝灌流中の肝細胞代謝に及ぼす、灌流による侵襲と門脈循環の変動の影響
Project/Area Number |
16591783
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
瀬尾 孝彦 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教授 (60262911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 久実 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60184321)
金子 健一朗 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90335042)
小野 靖之 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (10378193)
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Keywords | 人工臓器 / 臓器灌流 / 生体内分離肝灌流 / 臓器温存 / 肝代謝 / 自動制御血液ポンプ / 小児 / 血糖 |
Research Abstract |
体重7.8〜10kgの離乳直後の幼メスブタ12頭を用い、新生児用自動制御血液灌流装置により肝静脈-門脈バイパスによる生体内分離肝灌流を4時間まで行った。肝灌流の流量により10、20、30ml/min/kgの3群(10群、20群、30群)に分け、各4頭ずつ用い、灌流前と灌流後は自己血で充填し、灌流中は生理食塩水と蒸留水が半々の灌流液を15ml/hで注入した。結果、アルブミンは各群で前が、3.0±0.6、3.1±0.2、2.7±0.5g/dl、2時間後が2.2±0.4、2.1±0.2、2.1±0.2、4時間後が2.0±0.2、1.9±0.1、1.9±0.2と全群で持続して低下した。総コレステロールは各群で前が、87.0±19.4、78.0±17.7、95.5±16.9mg/dl、2時間後が71.0±15.0、58.0±15.2、76.3±12.6、4時間後が61.8±11.3、48.3±13.1、67.5±13.2とほぼ同様に低下した。トリグリセリドは各群で前が、10.8±5.6、5.5±3.4、7.0±2.7mg/dl、2時間後が11.3±3.3、6.3±1.9、9.8±3.5、4時間後が14.8±8.3、7.8±2.5、10.5±5.4と全群で上昇した。一方、グルコースは前値が各群で224.8±34.1、292.8±28.1、806.5±643.3mg/dlであったのが、開始1時間後には1014.0±629.3、1641.3±151.0、1222.8±584.8と著増した。その後徐々に低下し、2時間後が850.8±616.0、1419.3±147.2、1065.8±520.0、4時間後が665.3±515.8、1170.0±195.4、883.0±375.6で、10群でのグルコースの上昇が軽度であった。なお、30群でGOTの上昇が著明で溶血、あるいは鬱血が原因と思われた。GPTは全群で50IU/l以下であり、肝細胞障害はみられなかった。今後、採取した血清のinterleukin-6、tumor necrosis factor alphaを測定し、肝灌流中の侵襲の程度と灌流量の関係を判定し、また、endothelin-1により門脈灌流中の門脈圧上昇による門脈血管の収縮の程度を判定する。また、透過電顕を用いて肝細胞のグリコーゲン顆粒の経時的変化と他の細胞内小器官、封入体の分布の変化を検討する予定である。
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