2005 Fiscal Year Annual Research Report
小腸粘膜下層(SIS)を用いる小腸再生に関する基礎的研究
Project/Area Number |
16591787
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
王 仲秋 香川大学, 医学部, 助手 (20304587)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 泰宏 香川大学, 医学部, 助教授 (10136004)
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Keywords | 小腸粘膜下層組織 / ラット / 小腸再生 |
Research Abstract |
小腸粘膜下層組織(SIS)は組織工学で使用される細胞外マトリックスであり,腹壁,膀胱,腱,血管など様々な器官の再生のための足場として使用される.しかし,小腸粘膜下層組織を用いた小腸再生の研究は未だにみられない。我々はラットの小腸粘膜下層組織を用いて,ラット小腸の再生に成功した.SISにより再生した小腸の形態学的評価を行った. Lewis系雄性ラットを開腹して,6cm回腸Thiry-Vella loopを作成し,その中央部にラットドーナから作成したSISチューブを間置した.術後2,4,8,12,24週目にラットを犠牲死させ,新生小腸の組織学的・免疫組織学的検討を行った. 術後2週目にSISグラフトヘの多数の炎症細胞の浸潤と明らかな血管新生を認めたが,管腔内面の上皮の被覆は見られなかった.炎症細胞の数は時間が経つにつれて減少した.術後4週目にSISグラフトの両端内面に粘膜層が認められ,グラフトの約25%の長さを被覆していた.術後12週目にグラフト管腔の内面は完全に粘膜層に覆われ,平滑筋細胞も認め.られた.新生小腸粘膜には小腸上皮細胞,パネート細胞,杯細胞および腸内分泌細胞が認められた.術後24週目に新生小腸は本来の小腸と同じ層構造を示したが,神経線維は認められなかった. 今回の研究で,再生した新生小腸は.形態学的に本来の小腸と類似しており,組織学的に再生プロセスは自然な治癒過程と一致していた.しかしながら,再生した小腸の吸収機能又は腸管運動機能というphysiological functionを検討するため,ラットモデルの術後追跡期間は最長一年以上が必要となる.したがって,SISは新生小腸の作成に有用な材料である.
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Research Products
(1 results)