2005 Fiscal Year Annual Research Report
Synbiotics療法による小腸移植後拒絶反応の抑制効果
Project/Area Number |
16591788
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
星野 健 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (70190197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森川 康英 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90124958)
田辺 稔 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50197513)
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Keywords | 小腸移植 / synbiotics / probioties / prebiotics / 糞便有機酸 / 拒絶反応 / Bacterial Translocation / 糞便細菌叢 |
Research Abstract |
【背景】小腸移植はグラフトの保存、虚血再灌流障害、急性拒絶反応や免疫抑制剤の影響で腸管内細菌の増殖、粘膜バリア機能が侵されやすい状態にある。一方、外科領域においてもsynbiotics療法が脚光を浴びている。 【目的】ラット小腸移植モデルにおいて、synbiotics療法の拒絶反応、Bacterial Translocation発症に与える影響、および便中有機酸の濃度変化がグラフト拒絶反応の程度を予期するfactorとしての役割に関して検討した。 【方法】BNをドナー、Lewisをレシピエントとした同所性小腸移植を行いsynbiotics投与群・非投与群の2群とした。糞便細菌叢・有機酸濃度分析・臓器細菌培養・グラフト拒絶反応スコアリングを行った。 【結果】(糞便細菌叢)通性嫌気性菌で投与群において菌数の減少傾向に有意差が認められたのはEnterococcusのみであった。(糞便有機酸濃度)酢酸が10日目の投与群において有意に増加傾向が認められた。(臓器への細菌移行)すべての臓器において投与群で細菌数が少ない傾向が認められ、特にグラフト小腸の所属リンパ節と腹水において、投与群で有意に臓器内細菌数が低かった。(グラフト拒絶反応)拒絶反応スコアリングでは非投与群2.6±0.54に対して、投与群では2.3±0.57と両群間に有意差は認められなかった。 【結論】ラット小腸移植モデルにおけるSynbiotics療法の効果として、グラフトの急性拒絶反応の進展に伴う、臓器への細菌移行の抑制効果を確認した。糞便中有機酸分析は腸管内環境の把握に重要で、特に酢酸の動きは拒絶に伴う腸内細菌叢変化のマーカーとして有用な可能性が示唆された。強度の急性拒絶反応を誘発する移植コンビネーションでは拒絶反応は抑制できなかったが、今後慢性拒絶反応モデルなど臨床に近いと思われるモデルでの検討が必要と思われた。
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