2005 Fiscal Year Annual Research Report
緑色蛍光発色核により標識された細胞融合を用いる破骨細胞の延命機構の解析
Project/Area Number |
16591819
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
土門 卓文 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (50217618)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 恒之 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助教授 (80200822)
高橋 茂 北海道大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (70241338)
三留 雅人 北海道大学, 病院・講師 (50261318)
|
Keywords | 破骨細胞 / 破歯細胞 / 多核化 / 細胞融合 / 細胞死 / アポトーシス / ネクローシス |
Research Abstract |
多核の細胞である破骨細胞・破歯細胞の細胞寿命と細胞死に関してはよく分かっていない。本研究は新しい核の細胞融合が破骨細胞の延命に作用することを証明するとともに、これら多核の細胞の細胞死の過程を解明することを目的とする。平成16年度の研究実績により、細胞融合により破骨細胞が延命することが明らかとなった。しかしながら、その細胞死については不明な点が多い。生体内の単核細胞の細胞死は一般的にアポトーシスとネクローシスという2つの過程を経ることが知られている。破骨細胞・破歯細胞は骨粗鬆症の治療薬であるビスフォスフォネートを投与した場合、生体内と培養下においてアポトーシスを起こすことが知られているが、生理的な条件下におけるこれら細胞のアポトーシスについては報告がない。またこれら細胞のネクローシスについても報告がなく、多核の細胞である破骨細胞・破歯細胞の細胞死に関してはよく分かっていない。 平成17年度はこれらの点の解明を中心に、研究実施計画に従い実験を行った結果、以下の新所見を得た。生理的条件下における破歯細胞の細胞死を理解するために、交換期に達したヒト乳歯を用い、TUNEL法とTRAP染色の二重染色によりアポトーシスしている破歯細胞を検索した。またエポン包埋した試料では厚さ0.5μm間隔の連続準超薄切片を作成し、その中からアポトーシスを起こしている破歯細胞を観察し、その微細構造を透過型電顕で観察した。その結果、TUNEL陽性の核を持つ破歯細胞の断片構造が観察され、TEMでは偏在した典型的な核クロマチンの局在、細胞表面の多数の微絨毛様構造、ミトコンドリアの収縮像が観察された。この他、電子密度の低い膨化した細胞体と膨張した疎面小胞体とミトコンドリアを持つ破歯細胞も観察された。 以上の結果は生理的な条件下では破歯細胞はアポトーシスとネクローシスという2つの過程により細胞死することを示唆している。
|
Research Products
(1 results)