2005 Fiscal Year Annual Research Report
良性口腔腫瘍の二次的悪性転化機構に関する分子病理学的検討
Project/Area Number |
16591821
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
程 くん 新潟大学, 医歯学系, 助教授 (40207460)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 智 新潟大学, 医歯学系, 助手 (30397161)
朔 敬 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40145264)
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Keywords | 唾液腺多形性腺腫 / 被膜浸潤 / 脈管侵襲 / 染色体解析 / 染色体転座 / 黒色プロゴノーマ / 低酸素 / VEGF |
Research Abstract |
(1)ヒト口腔良性腫瘍組織における悪性形質の抽出:唾液腺多形性腺腫内の異型細胞・巣状癌が二次的に悪性化する可能性を提言してきたが、組織学的には同腫瘍における被膜浸潤は検討症例ほぼ全例ときわめて高頻度で、被膜外進展も約20%の症例でみられた。さらに静脈侵襲事例は約2%であった。侵襲部位の組織学的特徴は粘液様間質であった。したがって、悪性化の端緒は細胞異型性以前にその被膜・静脈侵襲態度からも検討する可能性があることが明らかになった。また、同腫瘍の乏血管分布性にVEGFスプライシング様式と低酸素性制御されるHIF-1αの高発現との関連で説明しうる可能性をしめした。 (2)多形性腺腫由来細胞の解析:前年度までに樹立した多形性腺腫細胞6種について種々の検討をおこなった。SMAP1-3は多角形細胞が主体でケラチンを、SMAP4-6は短紡錘形でS-100蛋白質を発現し、各々導管上皮、筋上皮への分化性格が示唆された。これらの細胞は平均107本の染色体、核型5nの異数倍性、さらに第9-13染色体の相互転座が共通していたので、FISH法により相互転座染色体再構成のブレイクポイントを確定したところ、13番染色体q12が、9番染色体p13に転座し、同部より遠位の遺伝子座欠失で同位のp16遺伝子など癌化関連遺伝子の機能喪失が示唆された。 (3)黒色プロゴノーマ由来細胞の解析:ヒト顎骨に発生した黒色プロゴノーマ腫瘍組織の初代培養から、多角形細胞形態の増殖細胞をみいだしたので、これを株化してMINT1/2/3の三種を樹立した。これらの細胞は上皮性格とともにS-100蛋白質ほかの神経系マーカおよびHMB45等のメラノサイトマーカも発現し、ビタミンD3ほかによって神経分化が促進された。染色体は、60-67本、3nの異数倍性をしめし、多数の構造異常を伴っていたが、SMAPシリーズ同様、第9-第13染色体の相互転座がみられ、この異常の意義に注目された。
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Research Products
(5 results)