2004 Fiscal Year Annual Research Report
細菌感染により誘導される細胞の老化機構に関する研究
Project/Area Number |
16591838
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
落合 智子 (栗田 智子) 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (20130594)
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Keywords | アポトーシス / T細胞 / 酪酸 / 酸化ストレス / ROS |
Research Abstract |
1.TNFαを介したDeathリガンド/レセプター系の解析 0.1〜10mMの酪酸を作用させ培養したヒトT細胞(Jurkat Tリンパ球細胞株)からRNAを抽出し特異的プライマーを用いて、RT-PCRを行った。酪酸はTNFαやTNFα-R,TRADD及びTRAILやTRAIL-R,FADDの発現に対しては影響を与えなかったものの、FLIPの発現を濃度依存的に抑制した。 2.ミトコンドリア周囲の変化 酪酸は濃度依存的にミトコンドリア膜電位を低下し、Cytochrome c, Smac及びAIFの発現を増強した。更にROSの関与を調べるために、抗酸化剤(NAC)処理を行ったところ高濃度でCytochrome c,Smac及びAIFの発現が抑制された。 3.Bcl-2ファミリー遺伝子の解析 Bcl-2やBcl-XLのアポトーシス抑制因子は5mM酪酸処理により発現が抑制されたが、NACでの前処理により抑制が解除された。一方、BaxやBadのアポトーシス促進因子は5mM酪酸により発現が亢進し、NACでの前処理により亢進が解除された。 4.Caspase活性の消長 酪酸によるCaspase-3,-8及び-9活性の促進は、NACでの前処理により濃度依存的に抑制された。高濃度(10mM)NAC処理で、Caspase-8活性は完全に抑制されたが、Caspase-3及び-9活性は部分的阻害(59%及び54%)を示した。 以上の結果から、酪酸誘導アポトーシスにおいてROSはセカンドメッセンジャーとして働き、ミトコンドリア内でのCytochrome c,Smac及びAIF発現やBcl-2ファミリー遺伝子発現に影響を与え、更にはその下流のCaspase-3,-8,-9活性に影響を及ぼしていることが示唆された。
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Research Products
(3 results)