2005 Fiscal Year Annual Research Report
重力ストレスで誘発されるラット海馬シナプスの可塑性変化のメカニズム
Project/Area Number |
16591853
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
粂井 康宏 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 講師 (30161714)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
戸田 一雄 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80134708)
下川 仁彌太 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教授 (80014257)
下川 伶子 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 助手 (90014349)
岡田 幸雄 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (60136687)
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Keywords | 海馬 / 重力 / シナプス可塑性 / LTP / テレメトリ |
Research Abstract |
本研究の目的は、2G高重力刺激によるラット海馬CA1領域でのシナプス可塑性変化のメカニズムを明らかにすることである。平成16年度では、海馬を含む脳スライスで、CA1領域シナプスにおける錐体細胞のホールセルパッチクランプ法によるEPSC(興奮性シナプス後電流)記録を試みた。パッチ電極を介してシナプス後細胞から電位固定条件下で記録し、シナプス電流の振幅の差を比較解析する予定であったが、厚さ1.5mmのスライスでは錐体細胞への焦点調節が困難であり、EPSCを記録することができなかった。そこで平成17年度ではラット個体を用いる方法へ転換し、まずラット海馬でのニューロン活動の記録、発信器による無線送信、近傍に設置したアンテナでの受信、アンプ増幅、インタフェースによるアナログ・デジタル変換、ハードディスクへの記録保存、というテレメトリックシステムを構築した。この状態でラットを遠心機に搭載し、2G高重力に曝露した場合、平常時(1G状態)の約3倍にニューロンの発火頻度が上昇することを発見した(Kumei et al.,2005)。次に遠心機回転中においても刺激装置によるラット海馬Schaffer側枝への低刺激(1Hz)および高頻度(100Hz)刺激を1秒間行う方法を開発し、2G高重力曝露中のラット海馬でのLTP(長期増強)を観察した結果、2G高重力曝露10秒後には1Hz刺激時の活動電位振幅平均-0.9μVに対して100Hz刺激時の活動電位振幅平均-1.4μVとなり、振幅レベルで160%上昇するearly-phase LTPが発生した。また2G高重力5分間曝露終了直後では振幅レベルで180%上昇するearly-phase LTPが観察され(Kumei et al.,2005)、重力変化時のニューロン活動のリアルタイム記録に初めて成功し、シナプス可塑性のメカニズムの一部を明らかにした。
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