2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591854
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
織田 公光 新潟大学, 医歯学系, 教授 (10122681)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天谷 吉宏 新潟大学, 医歯学系, 助教授 (50193032)
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Keywords | アルカリホスファターゼ / 先天性骨代謝異常 / 優性遺伝 / 低ホスファターゼ症 / 凝集 / Tet-On細胞 |
Research Abstract |
低ホスファターゼ症はヒト組織非特異型アルカリホスファターゼ(tissue-nonspecific alkaline phosphatase, TNSALP)遺伝子上の変異に起因する先天性骨代謝異常の疾患であり、多くは劣性形式で、まれに優性形式で遺伝することが知られている。2005年11月現在全世界で178の変異が報告されているが、これまで本疾患の分子病態機序に関する研究は数例の変異について報告されただけに留まっている。筆者の研究室ではこの数年ミスセンス変異を中心に突然変異がTNSALP分子の生合成や触媒活性にどのような影響与えるかを知る目的で、一連の細胞生物学的な解析を試みて来ている。A99Tミスセンス変異はTNSALP分子の99番目のアラニンがトレオニンに置換された例で、優性遺伝することが家系の調査から明らかになっている。野生型のTNSALPのcDNAを鋳型に部位特異的変異を導入してA99TをコードするcDNAを作製後細胞に導入し、COS-1細胞を用いた一過性の発現系とTet-On CHO細胞を用いた条件樹立細胞系で変異型酵素分子と野生型分子との比較検討を行った。その結果、TNSALP(A99T)は野生型と同じく80k Daの成熟型分子として細胞表面にグリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)を介して発現することを明らかにした。しかし、変異型酵素は組織化学的活性染色法、活性の定量的測定法のいずれによっても活性を全く失っていることがわかった。さらに、TNSALP(A99T)の一部は2量体以外にもジスルフィド結合を介した高分子量の凝集体を形成しており、この凝集体も細胞の表面に出てくることが判明した。このことは、アミノ酸の置換が酵素の立体構造の形成(フォールディング)にも影響して、適切な2量体化が一部の新生分子で行われなかったことを示唆している。野生型及び変異型酵素を異なったタグ配列(hisx6,HA)を有するGPIで修飾されない分泌型としてCOS-1細胞に同時に発現し、野生型ポリペプチドと変異型のそれが会合してヘテロ2量体を形成することを既に確認した。
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Research Products
(3 results)