2004 Fiscal Year Annual Research Report
リズミカルな顎運動を抑制する脳幹領域の機能的役割の解明
Project/Area Number |
16591856
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
増田 裕次 松本歯科大学, 総合歯科医学研究所, 教授 (20190366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 真之 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (00300830)
森谷 正之 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 講師 (80303981)
森本 俊文 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 教授 (20028731)
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Keywords | 咀嚼 / 顎運動 / 脳幹 / 大脳皮質咀嚼野 |
Research Abstract |
大脳皮質咀嚼野刺激により誘発されるリズミカルな顎運動が、脳幹のある特定の部位を電気的に刺激することにより抑制されることが知られている。しかし、その抑制機構の詳細は未だ明らかではない。そこで本研究では、まず、脳幹における咀嚼運動の抑制に関与する神経ネットワークを明らかにすることを目的に、神経標識法を用いて組織学的に検索した。浅麻酔下にてウサギの大脳皮質咀嚼野を電気刺激し、リズミカルな顎運動を誘発した。顎運動を誘発させているときに脳幹に連続電気刺激を行い、咀嚼筋筋電図と顎運動を記録して顎運動抑制を確認し、抑制部位を同定した。同定部位に順行性トレーサーであるBiocytinを圧注入法により、あるいは、逆行性トレーサーであるFluoro-Goldを電気泳動法により注入した。同定と注入には、一方に電気刺激のためのタングステンワイヤーを、もう一方にはトレーサーを封入した二連ガラス管微小電極を用いた。顎運動を抑制させる部位は中脳中心灰白質周囲網様体の腹外側領域であった。Biocytinにより標識された神経終末、結節状構造は、橋内側網様体で両側性に認められたが、三叉神経運動核内には存在しなかった。また、Fluoro-Goldにより標識された神経細胞体も、橋内側網様体で両側性に認められた。本結果から、顎運動抑制部位の投射部位と入力部位が同じ領域であったことから、中脳中心灰白質周囲網様体と橋内側網様体で相反的な神経ネットワークが存在することが明らかとなった。このことからも咀嚼運動を抑制するメカニズムも複雑な神経ネットワークにより遂行されていることが示唆された。
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