2004 Fiscal Year Annual Research Report
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16591858
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
野間 隆文 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (40189428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀口 大吾 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (70304532)
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Keywords | アデニンヌクレオチド / アデニル酸キナーゼ / アイソザイム / ミトコンドリア / ミトコンドリア膜間 |
Research Abstract |
エネルギー代謝で重要な細胞内小器宮であるミトコンドリアにおけるヌクレオチド動態については測定が技術的に困難であるため、詳細に調べることができない。そこで、今回申請したATPセンサーの開発を考案した。 今年度は、アデニル酸キナーゼ(AK)活性測定とアデニンヌクレオチドの測定に必要なアデニル酸キナーゼ2欠失体コントロールを作製をおこなった。 まず最初に、ショウジョウバエのAK1,AK2,AK3の各タンパク質を精製したのち、ウサギにて抗体を作成した。各抗体の反応性を明らかにするために、ショウジョウバエの幼虫と成虫および頭部、体部、尾部の各組織からタンパク質を抽出し、コントロールのタンパク質を含めてイムノブロット法によって各AKアイソザイムの発現レベルを分析した。この結果、ショウジョウバエにおいて、1、AK1は胚時期ではAK2が有意に発現しており、AK1やAK3の発現はきわめてわずかであること、2、幼虫では、AK2の発現レベルが下がり、AK1やAK3が有意に増加すること、3、成体ではAK1、AK2、AK3いずれの発現レベルも高値であることが分かった。一方、成体の各部での発現レベルは、AK1、AK2では頭部、胸部に発現が高く、腹部に低いこと、AK3は逆に頭部、胸部に発現が低く、腹部に高いことが分かった。以上の結果から、AK1、AK2、AK3の各アイソザイムは発生時期特異的、臓器特異的発現をしていることが伺えた。特に、AK2は発生時期早期と頭部および胸部での発現が高いことからミトコンドリア膜間でのヌクレオチド代謝の代謝回転が高いと考えられた。 次いで、膜間のアデニル酸キナーゼであるAK2欠失体の作製を試みた。ショウジョウバエの遺伝学的変異体のデータベースを探索し、AK2遺伝子領域にPエレメント挿入変異体のクローンを見いだした。このクローンを入手し、遺伝子構造解析を行なった結果、この変異体では、4つあるAK2遺伝子の第1イントロンにPエレメントがAK2遺伝子と逆向きに挿入されていることが明らかとなった。さらにこの変異体の掛け合わせ実験から、ホモ個体を得て、成長度合いを調べたところ、幼虫第2時期以降に成熟が行かないで致死個体になることが分かった。AK2遺伝子量が半分のヘテロ個体では、成長への影響が少ないことも分かった。 現在、AK2欠失体コントロールを用いたATPセンサーの作製を準備している。
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