2005 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞ワクチン法を導入した特異的GVT療法の口腔がんへの応用
Project/Area Number |
16591901
|
Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
大野 純 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (10152208)
|
Keywords | GVT / ICAM-1 / CTL / 樹状細胞 / 口腔がん / 腫瘍免疫 |
Research Abstract |
平成17年度の計画は、樹状細胞(DC)ワクチンからのCTLの腫瘍細胞への攻撃性を向上させることであった。第一段階としてのCTLに腫瘍抗原を認識させる点に関しては、DCへのパルス法により、ある程度満足の行く結果が得られている。次に、腫瘍抗原を認識している細胞が、腫瘍細胞が本質的に保有している免疫回避能をどのように打破するか?という問題点をある。すなわち、確実な細胞傷害性効果を得るためには、腫瘍細胞とCTLが接着することである。本年度は、1)この点に着眼して研究を進めた。実験で用いているマウス・メラノーマ細胞(B16)は、ICAM-1などの接着分子を恒常的には発現していない。したがって、DCパルスによりメラノーマ抗原をCTLに認識させてin vivoに戻しても、期待したほどの腫瘍細胞に対する傷害率が得られない。そこで、in vitro実験として、B16細胞の培養液にインターフェロン・γ(IFN)を添加してICAM-1発現を誘導した。ICAM-1が発現しているB16細胞は、Stamper-Woodruff binding assay(SWBA)によりCTLの接着性が確認された。すなわち、腫瘍細胞に対する特異性はDCパルス法によりCTLに獲得することができるが、確実で効率のよい傷害性を発揮するためには腫瘍細胞との接着性が必要であると推測している。最終年度であるH18年度は、腫瘍細胞とCTLの接着現象を含めた相互作用を解明する予定である。2)腫瘍細胞が発現するシアル酸糖鎖がリンパ管との接着〜浸潤に関与することをSWBA法により明らかにすることができた。したがって、H18年度ではシアル酸合成酵素の発現を含めて、腫瘍細胞の糖鎖構造と転移機序についても検索を続ける。本年度で得られた1)と2)の結果を総合することにより、特異的で確実なGVT効果が得られるものと考える。
|