2006 Fiscal Year Annual Research Report
難治性根尖性歯周炎の-酸化窒素産生における血管内皮細胞の役割
Project/Area Number |
16591923
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
武市 収 日本大学, 歯学部, 講師 (10277460)
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Keywords | 血管内皮カドヘリン / 誘導型一酸化窒素合成酵素 / 歯根肉芽腫 / HUVEC / 免疫染色 / real time PCR法 |
Research Abstract |
目的) 難治性根尖性歯周炎の病態を解明する目的で、誘導型一酸化窒素合成酵素(inducible nitric oxide synthase : iNOS)と血管内皮カドヘリン(Vascular endothelial-cadherin : VE-cadherin)の関連を病理組織学的、分子生物学的に検討したところ、以下の結果を得た。 結果) 1.病理組織学的検索:根尖病巣をヘマトキシリン-エオジン重染色し、歯根肉芽腫と病理診断されたものを試料とした。 2.免疫組織化学的検索:抗ヒトiNOSまたは抗ヒトVE-cadherinモノクローナル抗体を用いて免疫染色したところ、肉芽組織中のマクロファージ、リンパ球、線維芽細胞あるいはPMNsのiNOS陽性と血管内皮細胞のiNOSおよびVE-cadherin陽性を確認した。また、このiNOS陽性細胞は血管内皮細胞の周囲に多く浸潤していた。 3.細胞培養および分子生物学的検索:ヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞(HUVEC)に対して、リコンビナントヒトIL-1βとEsherichia coli由来菌体外多糖(LPS)で2〜24時間刺激したのち培養細胞を回収した。ただちにRNAを抽出し、相補的DNAを合成したのち、ヒトiNOSまたはVE-cadherin特異的プライマーを用いてreal time PCR法による遺伝子発現の検討を行った。その結果、両者の遺伝子発現が確認された。またiNOS遺伝子の発現強度は、VE-cadherinの発現強度よりも有意に高かった。 4.NOS合成阻害薬の検討:3.の細胞培養系にNO合成阻害剤を添加し、iNOS遺伝子の発現を検索したところ、添加していないものと比較してその発現が低下した。 結論) 以上のことから、NOの関与によりVE-cadherinの産生が調節されている可能性が示唆された。
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