2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16591929
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
中田 和彦 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (70261013)
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Keywords | 歯髄 / 歯髄細胞 / 担体(Scaffold) / コラーゲン・スポンジ / 細胞・担体複合体 / ティッシュ・エンジニアリング / 歯髄組織再生法 / 歯内療法 |
Research Abstract |
「歯髄組織再生のための細胞と担体の複合体の開発」において、初年度はヒト歯髄(HDP)細胞、次年度はコラーゲン・スポンジに関して検索を行ってきた。最終年度は、それらを用いた「細胞・担体複合体」の調製、および生体適合性について検討した。 「細胞・担体複合体」の調製法は、6ウェルまたは24ウェルーカルチャー・ディッシュ内にコラーゲン・スポンジを静置し、10%FBS含有ダルベッコMEMを加えてスポンジに培地を充分に浸潤させた後、細胞数が一定濃度となるように調製したHDP細胞浮遊液と交換し、37℃、5%CO_2条件下で一定期間培養して行った。この「細胞・担体複合体」を、通法に従い固定した後、走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して観察した。その結果、コラーゲン・スポンジ内部へのHDP細胞の侵入・定着は認められなかった。今回使用したスポンジは、ブタ皮膚由来のコラーゲンを原材料としており、HDP細胞とは生物学的に親和性が高く、また約100pm程度の不整形な小孔を有する網目構造を有していることから、その内部にHDP細胞の誘導が可能と考えられた。しかし、コラーゲン・ゲルを併用して間質部分を充填するなどの改良が必要であることが示唆された。 一方、生体適合性については、上記のように「細胞・担体複合体」が未完成のため、まずコラーゲン・スポンジを単独でラットの背部皮下組織に無菌的に埋入した後、1ヶ月後に周囲組織を含めて試料を摘出し、通法に従い固定した後、パラフィン包埋の連続組織切片を作製し、ヘマトキシリン・エオジン染色して光学顕微鏡にて組織学的に観察した。その結果、コラーゲン・スポンジは辺縁部から著明に吸収されて、面積が減少していた。また、その周囲は線維性結合組織で被包されており、炎症性細胞の浸潤は認められなかった。従って、コラーゲン・スポンジ単体の生体適合性は非常に良好であることが示唆された。
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