2005 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠時無呼吸患者用スプリントの下顎位の変化が顎関節および呼吸量に及ぼす影響
Project/Area Number |
16591963
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
鱒見 進一 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (70181659)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
有田 正博 九州歯科大学, 歯学部, 助教授 (50184289)
田中 達朗 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (50326469)
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Keywords | 睡眠時無呼吸症候群 / オーラルアプライアンス / 下顎位 / 呼吸量 / 体位 / 顎関節 |
Research Abstract |
閉塞型睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea : OSA)患者用スプリントは,いわゆる下顎前方牽引装置であり,睡眠時に下顎を前方移動させた状態に保持し,下顎に連結する舌骨や周囲軟組織を牽引することにより気道の拡大をはかるものである.我々はこの装置の有無による終夜睡眠ポリソムノグラフィーを測定し,治療効果があることを客観的に評価することができた.しかしながら,下顎の前方移動量と呼吸量の改善との関係や,下顎を前方移動することによる顎関節に及ぼす影響について確認するにはいたらなかった. 現在OSA患者用スプリントにおける最大の問題点は,どの程度下顎を前方に出せば十分であるのかという点にあり,最前方位というグループ,75%前方位というグループ,ただ単に開口状態でよいというグループなど,世界各国で様々な見解が報告されている. そこで我々は,下顎最前方位の75%前方位と50%前方位におけるOSA患者用スプリントを正常ボランティアおよびOSA患者に装着し,各下顎位における肺活量をスパイロメータにより計測し,下顎の前方移動量と呼吸量および体位との関係について検討したところ,50%前方位においても75%前方位と同等の呼吸量の改善が認められた. また,上述2種の下顎位における顎関節MRIも同時に撮像したところ,50%前方位から75%前方位までの関節円板の移動距離は咬頭嵌合位から50%前方位までの移動距離と比較してやや大きい傾向が認められた.下顎頭の移動距離はほぼ同様であった.さらに,50%前方位と比較して75%前方位では関節円板と下顎頭はさらに前方へ移動しており,OSA患者にオーラルアプライアンスを作製する場合,75%前方位より、50%前方位で作製した方が顎関節への負担が軽減できるという可能性が示唆された.
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