2004 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺形成における副甲状腺ホルモン受容体シグナルの機能解析
Project/Area Number |
16591994
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
相川 友直 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 助手 (00362674)
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Keywords | 唾液腺発達 / 副甲状腺ホルモン受容体 / 分枝発達 / プロティンキナーゼA / プロティンキナーゼC |
Research Abstract |
副甲状腺ホルモン受容体(PTHR)の唾液腺発達における機能を明らかにする目的で以下の研究を行った。 1)マウス胎仔顎下腺におけるPTHRとそのリガンド副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTHrP)の発現と局在の検討。 発達段階のマウス胎仔顎下腺からtotal RNAを抽出しreal time PCR法にてそれぞれの発現を定量的に検討した。その結果、PTHrPは12.5日をピークに、その後発現量は漸減した。PTHRは13.5-14.5日をピークに発現しその後漸減した。それらの発現局在を免疫組織染色法とin situ hybridization法で検討すると、唾液腺上皮細胞に局在することが明らかとなった。 2)PTHRシグナル伝達経路である3量体Gタンパクαサブユニット、Gs,Gqタンパクの発現。 免疫組織学的にGs,Gqサブユニットの発現を検討したところ、それらのタンパクは唾液腺上皮細胞と間充識細胞に発現し、唾液腺上皮細胞により優位に発現していた。以上より、発達過程の唾液腺組織はPTHRシグナルを伝達しうる環境にあることが明らかとなった。 3)PTHRノックアウトマウス顎下腺の組織形態学的解析。 PTHRヘテロ接合型マウスを交配し、胎生12.5日から18.5日のPTHRノックアウトマウス胎仔顎下腺を同腹の野生型マウスの顎下腺と形態組織学的に検討した。マウス唾液腺は上皮細胞塊(bud)が増殖、分枝して発達するが、PTHRノックアウトマウスでは、15日まで正常に発達するがその後、16日目以降は唾液腺budの発達が阻害され、優位にbud数が減少していた。Bud上皮細胞の細胞増殖能をBrdUの取り込みで評価すると、PTHRノックアウトマウスの唾液腺上皮細胞では15日目から優位にBrdUの取り込みが低下していた。これより、PTHRノックアウトマウスでは唾液腺上皮細胞の細胞増殖が抑制され、その後の分枝発達が抑制されることが示唆された。 4)PTHR下流シグナルの唾液腺発達に及ぼす影響。 PTHR下流シグナルは主に2経路あり、一つはGs-アデニールシクラーゼ-cAMPを介するPKA経路で、もう一つはGq-フォスフォリパーゼCを介するPKC経路である。胎生13日のマウス顎下腺を器官培養し、PKAもしくはPKC活性化薬剤を含む培地上で培養すると、PKA活性化薬剤は顎下腺のbud発達を抑制する反面、唾液腺導管の発達を促進した。PKC活性化薬剤はbud発達を促進した。以上の結果から、PTHRシグナルはマウス顎下腺発達のbud発達、分枝発達を促進し、その経路はGq-PKC経路を介することが示唆された。
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