Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古森 孝英 神戸大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50251294)
寺師 浩人 神戸大学, 医学部附属病院, 助教授 (80217421)
梅田 正博 神戸大学, 大学院医学系研究科, 助教授 (60301280)
一瀬 晃洋 神戸大学, 医学部附属病院, 助手 (90362780)
尾島 泰公 神戸大学, 医学部附属病院, 医員 (40403240)
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Research Abstract |
平成18年度は平成17年度に引き続き,ドナーである長管骨とレシピエントである膜性骨(下顎骨)との間に形成されるカールス(仮骨)について,特に軟骨内骨化が長管骨と膜性骨のどちらの骨形成および骨代謝機構に類似しているか,また,全く別の機構が存在しているかについて分子生物学的にラットおよびマウスを用いて解析することを目標とした. しかし平成17年度に引く続き,実験遂行中に実験モデルに重大な欠陥,トラブルが発生した.すなわち,移植に際しての血管吻合はほぼ98%の成功率で安定した結果が選られるのに対し,長管骨の下顎欠損部への移植後の固定が不十分となり,そこに偽関節を形成してしまうラット,マウスが数多く認められた.その結果,モデル作成の根本から研究を考え直す必要に迫られ,現状では依然それを打開するには至っていない.そのため,平成17,18年度の予定であった,形成されたカールスにおけるaFGF, bFGF, GDF-7mRNA発現のin situ hybridizationによる解析は行えなかった. 以上のことより長管骨と膜性骨の骨修復機構では軟骨内骨化に相違の中心があることが明らかとなっている以外,進展,進歩はない. そこで,下顎の区域欠損に対してbibarrelの血管柄付き遊離腓骨再建を施行し,興味ある治癒経過を呈した下顎再建症例を経験し,それをモデルとして免疫組織学的に軟骨内骨化を検討した.症例は27歳女性で,左下顎エナメル上皮腫にて下顎辺縁切除を施行するも病的骨折を起こし,腐骨除去によって区域切除状態となったため,血管柄付き遊離腓骨にてbibarelの下顎再建を施行した.術後47時間目に腓骨折り返し部の血管柄屈曲部位より遠位に血栓を形成していたため,遠位部血管柄の摘出を行った.その結果,下段の腓骨は通常の主栄養血管血行に,上段は下段からの骨膜の連続によりわずかに血行の得ることができる骨膜血行となった.再建腓骨の治癒経過では,1.術後6か月:プレート感染により開創:下段腓骨-下顎骨接合部にはcalusの形成が認められたのに対し,上段腓骨の内部構造が1/2まで吸収しており,残存下顎との接合も認められなかった.2.術後3年:プレート除去のため創部を開創.下段腓骨は完全な状態で下顎骨と一体化していたのに対して上段腓骨は骨髄などの内部構造は完全壊死し外側皮質骨も腐骨化していたが,残りの皮質骨のみで下顎骨と強固に一体化していた.さらに,上限段の空隙が新生皮質骨で充填され,内側皮質骨が上下一体化するという現象が生じていた.2.術後6年:上下腓骨は空隙なく新生骨で埋め尽くされ,完全に一体化するという極めてまれな現象を呈した.
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