2004 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌におけるOK-432の抗腫瘍メカニズムとそれに基づいた新規治療法の開発
Project/Area Number |
16592005
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岡本 正人 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (10243718)
|
Keywords | 癌免疫療法 / OK-432 / リポタイコ酸関連分子OK-PSA / Toll-like receptor 4 / 貪食 / 樹状細胞 / マクロファージ |
Research Abstract |
当教室では、レンサ球菌由来抗腫瘍免疫療法剤OK-432の活性成分(リポタイコ酸関連分子:OK-PSA)の分離に成功し、OK-PSAがToll-like receptor(TLR) 4のリガンド活性を保有し(Cancer Res,2004,Int Immunopharmacol,2001)、OK-432の抗腫瘍活性にもTLR4が重要な役割を演じていることを明らかにした(J Natl Cancer Inst,2003)。しかし、菌体製剤であるOK-432が、そのままの状態でTLR4に結合し、シグナルが伝達される事は困難である。本研究では、OK-432が、まず貪食細胞により取り込まれ、分解され、放出された活性成分がTLR4と結合し、シグナルが伝達され、抗腫瘍効果を発現するのではないかとの仮説をたて、in vitroおよびin vivo実験系にてこの可能性につき検討した。その結果、1)ヒト単球由来DCおよびマウス腹腔マクロファージ(PM)において、OK-432によるIL-12誘導は、貪食阻害剤サイトカラシンBにより有意に抑制された。2)OK-432がDCおよびPMにより取り込まれ、分解される事が活性成分OK-PSAを認識する単クローン抗体(TS-2)を用いた間接蛍光抗体法にて明らかとなった。3)OK-432処理DCの培養上清中には、活性成分OK-PSAが存在し、TLR4発現細胞株においてNF-κBの転写活性を増強させた。この活性はTS-2抗体(抗OK-PSA抗体)により中和された。4)OK-432を投与された担癌マウス血清中に活性成分OK-PSAが検出され、抗腫瘍効果が発現された。しかし、サイトカラシンBで貪食能を阻害された担癌マウスでは、OK-432を投与しても、その血清中にOK-PSAは検出されず、抗腫瘍活性も発現されなかった。OK-432の抗腫瘍活性において、貪食細胞による取り込み、活性成分の放出ならびにTLR4シグナルの活性化が極めて重要である事が明らかとなった。
|
Research Products
(13 results)