2005 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌におけるOK-432の抗腫瘍メカニズムとそれに基づいた新規治療法の開発
Project/Area Number |
16592005
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
岡本 正人 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (10243718)
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Keywords | 癌免疫療法 / OK-432 / リポタイコ酸関連分子OK-PSA / Toll-like receptor 4 / 貪食 / 樹状細胞 / ノックアウトマウス / 遺伝子導入 |
Research Abstract |
初年度の研究結果より、OK-432の抗腫瘍免疫活性には、貪食細胞によるOK-432の取り込み、分解・消化、活性成分であるリポタイコ酸関連分子OK-PSAの放出と Toll-like receptor(TLR)4シグナルを介した免疫細胞の活性化が重要である事が明らかになった。本年度は、OK-432の治療効果発現に重要な受容体分子TLR4が欠損している場合の対処法につき、TLR4ノックアウト(TLR4-/-)マウスを用いた動物実験にて検索した。LL/2移植C57BL/6マウスにおいて、同系マウス骨髄由来樹状細胞(DC)およびOK-432の腫瘍内投与により著明な抗腫瘍効果が得られたが、TLR4-/-マウスにおいては、同療法でも抗腫瘍効果は得られなかった。担癌TLR4-/-マウスに、DC+OK-432腫瘍内投与療法を施行する時、試験管内で誘導されたTLR4-/-DCにTLR4 cDNAの遺伝子導入を行なった。TLR4遺伝子導入DC+OK-432を腫瘍局所に投与する事により、TLR4-/-マウスにおいても、有意な抗腫瘍効果が得られた。一方、我々は、以前より施行している臨床研究を継続し症例数を増やし統計学的検索を行なった。OK-432による治療を施された口腔癌患者のうち、TLR4およびMD-2両遺伝子を発現している症例TLR4(+)MD-2(+)44例中CR23例(52.3%)、PR21例(47.4%)であったのに対し、TLR4(-)あるいはMD-2(-)の6症例では、CR0例、PR6例であった。TLR4(+)MD-2(+)患者は、TLR4(-)あるいはMD-2(-)患者と比較して、統計学的に有意な生存延長が認められた。本年度の研究結果から、TLR4遺伝子の発現異常により、OK-432が効果を発現しないと考えられる患者においては、TLR4遺伝子導入DC+OK-432併用療法が有効である可能性が強く示唆された。
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Research Products
(16 results)