2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16592014
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Research Institution | Kyushu Dental Collage |
Principal Investigator |
山下 善弘 九州歯科大学, 歯学部, 講師 (30254634)
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Keywords | 遊離組織移植 / マイクロサージェリー / 術後急性炎症 |
Research Abstract |
Microsurgeryを用いた血管柄付遊離皮弁の再建においては血管縫合後に引き起こされる炎症性サイトカインの発現による血管内皮細胞の誘導障害,繊維芽細胞の侵入における血管縫合部の生着障害,血管透過性の亢進による縫合血管周囲の浮腫による血管の圧迫などによる遊離皮弁の生着率の低下が認められる.本研究はラットによる血管柄付遊離組織移植の生着を左右する炎症性サイトカインの発現に関与する転写因子NF-kBの活性をおとり遺伝子を用いて転写因子を抑制し,血管柄付遊離組織移植の再建術後の急性病態期の克服について検討した. 作成したラット血管柄付腹部遊離皮弁の浅下腹壁動脈からDecoy ODNs含有HVJ-リポソームを注入し,皮弁組織内にDecoy ODNsを導入する.30分後に血管縫合と皮弁の縫合を行い,術後1日,3日,7日と経日的に皮弁組織の浮腫や発赤などの急性症状の程度を評価する同時に,皮弁の摘出標本を作成し,炎症の程度や組織内浮腫について組織学的に観察した.また,免疫組織化学的染色によるスクリーニングおよび組織抽出物を用いたNorthern bloth法におけるIL-6,IL-8の発現について検索した. 遊離皮弁におけるNF-kB標的としたHemagglutinating Virus of Japan(HVJ)を用いたHVJ-リポソーム法によるおとり遺伝子治療の利点は複数の炎症性サイトカインを同時に抑制でき,遺伝子の反復投与が可能であり,導入効果が高いという事である. NF-kB Decoy ODNs含有HVJ-リポソームを遊離皮弁に投与した群では,皮弁周囲の炎症性細胞浸潤が弱い傾向を認めたが,Northern bloth法におけるIL-6,IL-8の発現では各群間での有意差は認められなかった. 以上の結果よりNF-kBのおとり遺伝子を組織中に導入することにより複数の炎症性サイトカインの発現を抑制し,炎症急性期の克服の可能性が示唆されたが,Decoy ODNs含有HVJ-リポソームの投与濃度および投与方法についてさらに検討する必要があると思われた.
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Research Products
(2 results)