2005 Fiscal Year Annual Research Report
発達障害児の口腔環境ならびに歯科疾患発症の特異性の解明とその予防法の確立
Project/Area Number |
16592060
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
福田 理 愛知学院大学, 歯学部, 教授 (60090148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 正樹 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (20213085)
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Keywords | 重症心身障害者 / 歯肉増殖症 / 歯周病関連細菌 / 発達障害児 / 齲蝕罹患状況 |
Research Abstract |
1.重症心身障害者施設入所者と本学歯学部附属病院障害者歯科外来患者のフェニトインによる歯肉増殖と歯周病関連細菌の関連について調査し,以下の結果を得た.なお,歯周病関連細菌の検索は歯肉縁下プラークを採取し,Polymerase Chain Reaction法(PCR法)にて検索した. 歯周病関連細菌の検出率を歯肉増殖の程度別に見ると,重心では歯肉増殖の高度なものがP.g.,B.f.,A.a.において有意差が高かった.外来患者では歯肉増殖の高度なものがP.g.,B.f.,T.d.,E.c.において有意差が高かった.障害の程度に関わらずP.g.,B.f.は歯肉増殖の重症例に多く検出されたことから,これらの菌が歯肉増殖に影響を及ぼす因子の一つであると考えられた. 2.早期療育施設内歯科に通院する発達障害児792名を対象に障害別,年齢別,齲蝕罹患の特徴ならびに継続的な歯科保健管理の齲蝕予防効果について調査し,以下の結果を得た. 障害児は健常児に比べ齲蝕に罹患するものの割合は高く,その傾向はすでに1〜2歳からみられた.齲蝕経験歯数(df歯数)からみた障害の種類による齲蝕罹患状況の比較では,1,2歳では障害間での差は認められないが,3,4歳には障害間の差が顕著となり,とくに精神遅滞が他の障害に比して明らかに高い齲蝕罹患性を示した. 歯科保健管理を3年間定期的に受けた障害児(継続管理群)の齲蝕経験者率は41,2%,同年齢の健常児の56.1%,歯科保健管理を受けていない障害児(非管理障害児群)の71.4%に比べ顕著に低い値であった.継続管理群のdf歯数は2.0本で同年齢の健常児の3.0本,非管理障害児群の4.8本に比べ顕著に低い値を示していた.以上の結果から,障害児に対し低年齢から専門的な歯科保健管理を継続することにより,同年齢の障害児のみならず健常児に比べても良好な口腔状態が維持できることが明らかとなった.
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