2006 Fiscal Year Annual Research Report
矯正力による歯根膜微小血管の機能的変化と歯周組織変化との対応
Project/Area Number |
16592061
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
石川 博之 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (20184492)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長門 俊一 福岡歯科大学, 歯学部, 教授 (80084284)
久永 豊 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (70352292)
玉置 幸雄 福岡歯科大学, 歯学部, 講師 (40369046)
山本 克之 北海道大学, 大学院・工学研究科, 教授 (10088867)
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Keywords | 歯根膜 / 血管網 / 矯正力 / 3次元構築 / イオンエッチング / 歯根吸収 |
Research Abstract |
これまでに、微小循環顕微鏡システムを用いてラットの歯頚部歯肉の血管網を観察し、血管径の計測や血流速度の測定を行い、血管網の機能的変化をとらえる検査方法の確立をすすめてきた。今年度は、矯正力を加えた時に生じる歯根膜血管の形態的変化の把握を目指して、連続組織切片の3次元構築とイオンエッチング法による微細構造観察により歯根膜血管網の分布を検索し、さらに生理的歯根吸収の発現との関連を検討した。実験動物として生後6週齢のSD系ラットを用い、下顎の右側第一・第二臼歯間歯周組織の試料を採取した。試料採取後、通常の透過電顕試料作製法に準じて、固定、脱灰、脱水、エポキシ樹脂包埋した。その後0.5μm横断連続切片を作製し、トルイジンブルー染色して連続切片の光顕観察を行った。さらにイオンエッチングを施し、走査電顕観察し破歯細胞を同定した。連続切片はコンピュータを用いて3次元再構築し、歯根膜血管網の走行を立体的に観察した。その結果、歯根および歯槽骨間の歯根膜血管の分布には、以下のような特徴が観察された。 1.歯根膜血管は、歯根膜のほぼ中央から歯槽骨よりに位置していた。 2.生理的歯根吸収が認められる部位では、吸収窩に対応して歯根寄りに走向する血管が確認され、さらに歯根の吸収窩へ新生血管の形成がみられた。 3.歯根の吸収窩に破歯細胞が認められる部位では、破歯細胞に近接する血管が確認された。 連続組織切片の3次元構築と同一切片のイオンエッチングによる歯根膜の微細構造観察は、歯根膜血管網の変化と歯周組織変化との対応を検索する方法として、極めて有効であることが確認された。なお以上の知見については、第65回日本矯正歯科学会大会(2006、札幌)および第33回福岡歯科大学学会総会(2006、福岡)において報告した。
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