2004 Fiscal Year Annual Research Report
ストレスが歯周病に及ぼす影響における神経ペプチドの関与の解析
Project/Area Number |
16592070
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 康治 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (00170473)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤峰 昭文 九州大学, 大学院・歯学研究院, 教授 (00117053)
山座 孝義 九州大学, 大学院・歯学研究院, 助手 (80304814)
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Keywords | ストレス / 歯周病 / 神経ペプチド / サブスタンスP / 付着上皮 / 好中球 / 浮腫 / ラット |
Research Abstract |
歯周病の初発部位である歯肉の付着上皮部には、神経ペプチドのサブスタンスP(SP)を含有する感覚神経末端が密に分布している。また、歯肉溝滲出液(GCF)の中にはSPが含まれており、歯肉炎、歯周炎患者のGCF中のSPのレベルは健常者と比較して有意に高いとの報告や、歯周治療前と比較して治療後にGCF中のSPの量が減少するとの報告がある。本研究は、ストレスが歯周病に対する関与を神経ペプチドの作用の面から分析することを目的としているため、本年度の研究ではまず、歯周病罹患時にGCF中に増加するSPをラットの付着上皮部に局所投与し、歯周病の初期に病変部に遊走してくる好中球に着目してin vivoの解析を行った。局所投与法としては、歯肉頂部に綿糸を静置し、綿糸に生理食塩水で希釈したSPをマイクロピペットで滴下する方法を用いた。付着上皮部の好中球は組織化学的手法を用いてDAB反応により細胞内のアズール顆粒を可視化することでその動態を解析した。SPによる血管透過性亢進作用の解析には組織液中に含まれているIgGを免疫組織化学的手法により可視化し浮腫の状態を観察することで行った。10^<-3>M、10^<-4>M、10^<-5>M、10^<-6>Mに希釈したSPを局所投与し、投与後5分、15分、30分、60分後に組織を採取し付着上皮部の好中球の観察を行った。付着上皮部の単位面積当たりの好中球数を分析し、その結果、SP局所投与15分後をピークに好中球数が増加し、その後徐々に投与前と同じレベルに減少することが確認された。また、血管透過性の亢進が惹起され浮腫が起こることも確認できた。今回の結果より、GCF中のSPが増加した状態では、付着上皮部の好中球数が一過性に増加している可能性が示唆されたため、今後、歯周病へのSPの関与について、とくに歯周病の開始期における炎症性細胞への作用に注目して解析を続けて行く。
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