2005 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸ラセミ化法による象牙質からの年齢推定に関する研究
Project/Area Number |
16592100
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
大谷 進 神奈川歯科大学, 高次口腔科学研究所, 助教授 (60104478)
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Keywords | 歯 / 象牙質 / 年齢推定 / ラセミ化反応 / ラセミ化率 / D-アミノ酸 / D-アスパラギン酸 / 加齢変化 |
Research Abstract |
研究課題のアミノ酸ラセミ化法による象牙質からの年齢推定に関する研究は、現在、アスパラギン酸(Asp)のラセミ化率を年齢鑑定に利用し、如何に早く、簡便に、正確に年齢を求めることが可能か研究している。本法は化学反応を利用したもので、客観的で、もっとも優れた検査法であると考える。17年度は、年齢鑑定を実施する際、検査結果を早急に求めるために、ガスクロマトグラフに搭載のFSキャピラリーカラムに改良を加え、Asp専用のカラムを作製した。従来のカラムは、Aspを検出するまでに、10分前後かそれ以上要していたが、カラムにナフチルエチルアミドをコーティングすることにより、5分以内に明瞭に分離検出することが出来た。5分以内に明瞭に分離検出できるカラムは報告されていない様である(現在、外国雑誌に投稿中です。)。この結果、年齢鑑定を以前より1時間以上早く求めることが可能となった。また、歯槽骨からの年齢推定に関する研究を行ない、Aspのラセミ化率は、以前行なった大腿骨に比べかなり低値を示し、大腿骨より代謝が活発である証しを得た。歯槽骨のAspのラセミ化反応速度定数(ky)は0.000176で、男性で0.000338、女性で0.000084と算出され、男女とも反応速度は大腿骨とほぼ同様な傾向であった。歯槽骨のAspのラセミ化率と実年齢との相関係数(r)は0.660で、男性(0.912)で高く、女性(0.527)で低く大腿骨と同様に性差(P:0.01〜0.001)がみられた。さらに、マンモス象牙とヒト象牙質とのAspのラセミ化率を比較したところ、マンモスの象牙はヒト象牙質より低値を示した。これは象牙が継続的に発育し続けていたためと、低温で保存されていたことが推測できるが、蛋白質の変性による要因かも知れない。マンモス象牙を歯髄側とセメント質側と比較すると、セメント質側の方が高い値であった。これは歯髄側より早期に形成されたためと思われる(現在、外国雑誌に投稿中です。)。
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Research Products
(4 results)