2006 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸ラセミ化法による象牙質からの年齢推定に関する研究
Project/Area Number |
16592100
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
大谷 進 神奈川歯科大学, 高次口腔科学研究所, 助教授 (60104478)
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Keywords | 歯 / 象牙質 / 年齢推定 / ラセミ化反応 / 代謝 / D-アミノ酸 / D-アスパラギン酸 / 加齢変化 |
Research Abstract |
アミノ酸ラセミ化法による歯(象牙質)からの年齢推定において、もっとも良い指標は、アスパラギン酸(Asp)である。Asp以外のアミノ酸の報告は、ほとんどみられない。しかし、活用できれば、本法の信頼性の向上に役立つと思われる。そこで、象牙質中のアラニン(Ala)およびグルタミン酸(Glu)について、総アミノ酸(TA)の他、TAから酸可溶性ペプチド(SP)を分別し検索した。その結果、TAからのAlaおよびGluは、ラセミ化率が低く実年齢との相関がみられなかった。SPからは、Asp以外のAlaおよびGluにおいても実年齢との高い相関が得られ、SPを利用すればAlaおよびGluにおいても十分活用出来る可能性が示唆された。また、代謝が緩慢な組織では、L型から変換されたD型のアミノ酸が加齢に伴い蓄積している。我々はD-アミノ酸が組織の代謝と深く関連していることから、組織再生能にも関与し、その指標として役立つ可能性があるものと考えている。そこで、下顎骨の組織再生能について、AspのD型の蓄積量を部位別に分析した。下顎骨のD-Aspは、下顎枝と下顎体では下顎枝で、下顎体下部と下顎体上部では下顎体下部で、下顎体上部の臼歯部と前歯部では臼歯部でそれぞれ多く存在した。このように、下顎骨のD-Aspは、下顎体上部(下顎管より上方)の前方ほどそれが活発で、組織再生能も高いことが示唆され、骨の部位による骨再生能の高低を知る手がかりになるのではないかと考えている(国際誌に投稿中である。)。 現在、カロリンスカ研究所の細胞・分子生物学部門からの申し入れで、彼らが発表した^<14>C法(Nature 437/15:333-334,2005)による歯の年齢推定法と我々の行っているラセミ化法との差について、共同研究を進めている。2007年1月、世界で初めてD-アミノ酸の書物が著者を含め約50人の研究者により発行された。
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Research Products
(4 results)