2006 Fiscal Year Annual Research Report
看護師2年課程(通信制)における学習者の経験と教育課題に関する研究
Project/Area Number |
16592126
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Research Institution | KOBE CITY COLLEGE OF NURSING |
Principal Investigator |
平河 勝美 神戸市看護大学, 看護学部, 助教授 (10254476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 千冬 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (60272267)
中根 薫 神戸市看護大学, 看護学部, 助手 (10305708)
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Keywords | 准看護師 / 看護教育 / 教育課題 |
Research Abstract |
平成18年度は、データ分析方法を再検討し、その上でデータの分析と解釈に取り組んだ。分析方法は、当初はKJ法を用いる計画であった。KJ法で取り扱うのは顕在化した事象であるため、語り手が話すときには内容が十分に言語化されている必要があるが、本研究の協力者となった准看護師たちの語りはそうではなかった。KJ法で分析しても、結果は本研究で既に得てきた「知識を得た喜び」「学費の負担」「職場への気兼ね」など、定型化したカテゴリにとどまると予想された。そこで他の質的分析方法を検討した結果、いわゆるライフストーリー・アプローチやナラティブ・アプローチで語りを解釈するのが適当と考えられた。これらでは、「自分の歴史をどのように描いているか」「なぜその経験を語るのか」という発想でデータを読み、語りの背後にある経験世界も合わせて解釈できるからである。 その結果、准看護師の学習経験はたとえば次のようなものとわかった。ある准看護師は勤務している職場で患者を護れていると思えないのだが「これが看護なのだ」と言われて何も言えないでいる。「違う」と声を上げるために看護師になろうとしている。別の准看護師は小論文で「看護とは何か」を書くことになり、教科書を何冊も調べる中で「日常生活の援助」という言葉に出会う。足浴やハーバード浴といった日常の業務が実は看護だったのだと、自分の経験と言葉で看護を定義できるようになっていく。これらに一端を見るように准看護師は長年の看護経験を自己形成の契機へと生かし、通信制での学習と統合させて意味づけていた。またそれが多様な様相を呈していた。 教育課題としては、「看護研究」など、准看護師が自らの臨床経験をもとに看護や人間を探究するプログラムが欠落しており、メタレベルの職業能力の開発に関して弱点があると考えられた。
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