2006 Fiscal Year Annual Research Report
外来がん化学療法を受ける患者家族の看護介入モデルの開発-対処過程に焦点をあてて-
Project/Area Number |
16592146
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
矢田 真美子 神戸大学, 医学部, 教授 (10239783)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福田 敦子 神戸大学, 医学部, 講師 (80294239)
上杉 裕子 神戸大学, 医学部, 助手 (40423230)
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Keywords | 化学療法 / 外来 / 患者 / 家族 / 対処 / ストレス / 倦怠感 / 身体活動量 |
Research Abstract |
本研究は外来がん化学療法が患者家族に及す影響と対処過程を明らかにし、それに基づき、外来化学療法を受ける患者家族の対処を支援する看護介入モデルを検討することを目的としている。本年度は、以下の調査を実施した。 1.昨年度から引き続いて、外来化学療法室でがん化学療法(GEM療法他)を継続的に受ける消化器がん(膵臓がん・胆曩がん・胆管がん他)の患者と家族を対象に、患者家族の対処過程および看護ニードとケアの現実・期待に関する面接調査および参加観察を行なった。その結果、患者20名(男性12名、女性8名)とその家族19名(妻11名、夫3名、娘3名、息子の嫁1名、姉1名)の質的データ収集ができた。修正版グラウンデッドセオリー・アプローチによる分析途中であるが、患者家族の対処として「平常な暮らしを維持する」「通院治療継続に協力する」「治療効果を期待する」「不安をコントロールする」「患者の体調の変化にあわせて支援する」「共に過ごす時間をつくる」「家族のスケジュールを調整する」「家族間で情報を共有する」「家族員相互に気づかう」「患者の世話と他の家族の世話を調整する」「家族・友人の支援を受ける」の10カテゴリーと17サブカテゴリーが見出された。 2.外来で補助化学療法(5FUアイソボリン)を受ける大腸がん術後患者6名(男性4名、女性2名)を対象に、ストレスと対処に関する面接調査を実施した。その結果、患者のストレスは「導入時の不安」「再発への不安」「疾病・死の不安」「全身倦怠感」「食事における困難」「排泄における困難」「治療継続の辛さ」の7つに分類され、それらの対処は「情報を得る」「前向きに考える」「見通しを立てる」「他のストレスを減らす」「医師を信頼する」「開き直る」「不安要素を見ない」「身体を休める」「活動する」「水分をとる」「慣れる」「食べられるものを選ぶ」「なるべく食べるようにする」「数回に分けて食べる」「吐き気・味覚障害に慣れる」「トイレの位置を確認する」「オムツを使う」「薬を使う」「軽い方だと思う」「考えを変える」に分類された。 3.外来で補助化学療法(5FUアイソボリン、1クール:6週の治療と2週の休薬)を受ける大腸がん術後患者5名(男性3名、女性2名)を対象に、CFS (Cancer Fatigue Scale)とライフコーダー(歩数)を用いて倦怠感の実態調査を行った。治療期間中の患者の倦怠感は、程度やパターンに相違があるが、投薬後の週内の変動をしながら、徐々に増加し、休薬期間には回復する傾向が認められた。CFSと歩数は有意な負の相関を示し、倦怠感の増加に伴う身体活動量の減少が明らかとなった。患者自身もしくは医療者が患者の倦怠感を客観的に把握するツールとしてCFS (Cancer Fatigue Scale)とライフコーダー(歩数)が有効である可能性が示唆された。
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