2005 Fiscal Year Annual Research Report
ワーキングマザーの母乳栄養継続と乳腺炎の感染予防のための看護ケアの開発
Project/Area Number |
16592171
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Research Institution | Mie Prefectural College of Nursing |
Principal Investigator |
河田 みどり 三重県立看護大学, 看護学部, 助教授 (90364166)
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Keywords | 感染看護 / 母乳栄養 / 乳腺炎 |
Research Abstract |
ワーキングマザーの授乳の問題点を明らかにし、母乳栄養継続と乳腺炎予防のための看護ケアについて、細菌学的および分子疫学的なエビデンスを持って検討することを目的として実施した研究成果を以下に報告する。 1.母乳栄養継続の希望において、退院時では就業者のほうが有意に継続を希望する月数が少なかった。就業者は、職場復帰を考え、母乳栄養を長く続けることが難しいと考えていることが推測された。就業者が母乳栄養を長く継続できる職場環境の整備が必要と考えられた。 2.清潔習慣において、退院時には手洗いが必要と考えられる場面では、汚れの有無に関係なく高い実施率で手洗いが実施されていた。一方、産後3カ月の時間経過とともに、目でみた視覚的な汚れの場合に手洗いをするものが増加していた。手洗いは、感染性乳腺炎予防の視点から重要な予防対策であり、退院後の母親への手洗いの指導について、今後検討していく必要性があると考えた。母乳パットの使用と交換回数は、産後3カ月の時間経過とともに回数が減少していた。今後、感染の危険性と母乳パットの交換頻度について、科学的なエビデンスの必要性が示唆された。 3.感染性乳腺炎の起炎菌で最も一般的な黄色ブドウ球菌の保有率は、鼻前庭部、乳輪部ともに産後3カ月間の経過とともに保有率は増加していた。特に、鼻前庭部では、退院時に18.2%であったものが、1ヶ月時40.0%、3ヶ月時45.5%に増加していた。今後、1カ月時の保有率の激増には、どのような要因があるか検討する必要が示唆された。対象者から分離された黄色ブドウ球菌のPFGE解析結果から、分娩日から病院内でお互いに接触した可能性が極めて低いと考えられる2症例から遺伝的に同一の黄色ブドウ球菌が分離された。病院内でお互いに接触した可能性が極めて低いことから、伝播には医療従事者、医療器具、第三者が介在した可能性が示唆された。
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