2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16592177
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
原 三紀子 東京女子医科大学, 看護学部, 講師 (90291864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小長谷 百絵 東京女子医科大学, 看護学部, 助教授 (10269293)
海老澤 睦 東京女子医科大学, 看護学部, 助手 (60349777)
寺町 優子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (30188685)
水野 敏子 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (10153305)
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Keywords | 神経難病患者 / 心のケア / 看護師 / 対象理解 / 看護介入 / 教育プログラム |
Research Abstract |
本研究では、神経難病患者の心のケアについて、看護師がどのように思い、取り組んでいるかの実態を明らかにし、神経難病患者のQOLを高めるためのケアのあり方を検討していくことを目的とした。 平成16年5月〜7月まで、質問項目を検討し、プレテストを実施しながら半構成的面接の質問項目の修正を行なった。本調査は、調査協力の得られた看護師43名から神経難病患者の心のケアに対する思いや、実際の取り組み、看護におけるエピソードなどについてデータ収集した。インタビューの結果は逐語録に起こし、文章単位に整理して文章に含まれる中心的意味内容のコード化を行なった。分析は、(1)看護師が捉えた心のケア(2)心のケアにどう取り組んでいるか(3)心のケアの取り組みを阻むものなどに関する中心的意味内容を抽出した。その結果、79の小カテゴリーに分類されたものを中カテゴリー、大カテゴリーに分類し、主要となる概念および概念間の関係について考察した(詳細は報告書参照)。「心のケア」について看護師は<患者が病気を受け止め、前向きになれるようにすること><生きがいを再発見できるように手伝うこと><今後の人生を組み立てていけるようにサポートすること>など神経難病を持ちながらも患者が前向きに生きがいをもって生きていけるようサポートすることと捉えていた。「心のケア」として看護師が取り組んでいたことは、<患者の告知や受容に合わせて話を聴く><話しやすい雰囲気を作る><院内でできる気分転換をすすめる>など患者とのコミュニケーションを工夫することや、気分転換の場や機会を作ることなどが行なわれていた。その一方で、<心のケアは身体的ケアに比べて優先度が低い><心のケアをする時間やゆとりがない>など日常業務の忙しさが心のケアの取り組みを阻むものとして挙げられていた。また、<心のケアができているか確信が持てない><患者の感覚でしか分からない症状や苦しみを理解することが難しい><患者の気持ちを受け止める器がない>など看護師自身が患者の心の理解、気持ちの引き出し方、関わり方が分からず、看護介入に対して<迷い><無力感><もどかしさ>などを感じていた。これらの結果から、神経難病患者によりよい看護を提供していくためには、今後の課題として、神経難病患者の心のケアを実践するための看護教育プログラムを開発していく必要性が示唆された。
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