2004 Fiscal Year Annual Research Report
産後うつ病の母親の産後1か月間の育児体験の質的分析
Project/Area Number |
16592202
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
山川 裕子 佐賀大学, 医学部, 講師 (00259673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福澤 雪子 産業医科大学, 産業保健学部, 講師 (30352321)
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Keywords | 産後うつ病 / 育児体験 / 母親 / 質的研究 / M-GTA / EPDS / 産褥期 |
Research Abstract |
本研究の目的は、産後の母親の退院後1か月間の育児を中心とした生活体験について明らかにすることである。対象者は、産後5日目と1か月時にEPDSを用いた精神状態の調査の結果、産後5日目には問題がなく、1か月時にEPDS9点以上で、初めてうつ状態と判断された母親である。研究開始の平成15年11月から現在(平成17年2月)までに、F市の産科クリニックで出産した母親824名中、本研究対象の条件に合った母親は8名であった(出現率1.0%)。そのうち、6名の母親に倫理的手続きを踏んだ上で半構成的面接をした。平均年齢31.3(30〜33)歳、初産婦4名であった。経産婦のうち2人目の出産が1人、3人目が1人であった。1名のみ帝王切開、他は自然分娩であった。重篤な産科合併症は見られなかった。児の異常もなく、全員1か月健診時に健康と判定されている。面接の時期は、産後1か月以降3か月以内であった。 産後1か月間の育児生活で疲れてしまったのは何故か、体調を崩した原因は何かといった分析テーマに基づいて、M-GTA法を用いて分析した。 分析の結果、現時点では<思い通りにならない子育て>、<一人で背負い込む>、<赤ちゃんが不憫>、<守ることの重責感>、<自分のテリトリーを守る>といった5つの概念が生成された。産後の育児を主とした生活への適応過程で、母親自身他に助けを求めない傾向にあり、又、助けにならない夫や実母の実態も見られ、産後1か月間は【孤立した育児生活】を送っている母親像が示された。反応が掴みにくい新生児との相互作用も影響条件として推測できたが、現時点の分析では明白な結果として言えないので、今後理論的サンプリングを推し進める必要がある。引き続き面談する対象者を増やして、データ収集を継続するとともに、新たな概念の生成と既に抽出した概念間の関係性について分析を進めることで、概念の整理を行う必要がある。
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