2004 Fiscal Year Annual Research Report
最適化モデルからみた難病家族介護者への看護援助に関する研究
Project/Area Number |
16592207
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Research Institution | Niigata College of Nursing |
Principal Investigator |
平澤 則子 新潟県立看護大学, 看護学部, 講師 (60300092)
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Keywords | 難病 / 家族 / 介護者 / 介護経験 / QOL / 人生 / 方略 |
Research Abstract |
本研究の目的は、難病患者とともに生きる家族が、家族自身の自己実現の追求に向けて必要とする方略の内容とプロセスを明らかにし、その看護援助について探索し、記述することである。 16年度は、夫を介護する妻14例を対象として、妻のライフコース(人生行路)と介護体験における方略の実態及びQOLを分析し、方略モデルの検討を目的とした。QOLは妻が描く人生評価図と「心理的福利」を用いて測定し、10名については平成12年度と16年度で比較した。妻のQOLは、夫の病気が進行し、介護量が増加したにも関らず前回よりも高い者が多かった。QOLの向上がみられた事例は、『学習する』『仕事が続けられるよう工夫する』など積極的情動型対処であった。QOLが低いまま推移している事例は、夫発病以前に絶望感や虚脱感といった「人生の底の経験」と認知する出来事があり、『諦める』『人に言わない』『夫に譲歩する』等の消極的情動型対処であった。人生評価図の変化の契機となる体験は、低下では気管切開前の呼吸困難、排泄介護量の増加、痴呆症状の出現、自身の退職、向上では病状安定、気管切開、介護終了、子どもの結婚と家族員の増加であった。夫の発病を「人生の底の経験」と認知し、その後も「底の経験」として介護を体験している妻は、次第に閉じこもりがちになることが考えられた。 以上のことから、難病の夫を介護する妻が、閉じこもりがちな状況を克服し、自己実現の追及に向けて必要とする方略として、1.夫発病以前の「人生の底の経験」と認知する出来事の受容促進、2.人生における介護経験の意味づけ、3.患者の病状変化の予測と対処スキルの習得、が示唆された。 今後は、妻の方略モデルの作成を試み、その看護援助について追究する予定である。
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