2004 Fiscal Year Annual Research Report
NPOと行政との協働に関する研究-委託事業の実態と事業評価に関する事例調査-
Project/Area Number |
16600005
|
Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
萩原 なつ子 武蔵工業大学, 環境情報学部, 助教授 (50279717)
|
Keywords | NPO / 協働 / 委託事業 |
Research Abstract |
平成16年度は地方公共団体のNPOへの業務委託の実態を把握するために、都道府県の協働のガイドライン等に関する情報収集とNPO活動の促進を担当する部署を対象とした聞き取り調査を行った。本年度聞き取り調査を実施した県は宮城県、千葉県、愛知県、高知県、佐賀県、福岡県、福井県、富山県である。特定非営利活動促進法施行後ただちに条例を制定し、NPO推進事業発注ガイドラインを作成するなど、早くからNPOへの委託事業を進めてきた県から、指針等を作成した県まで、取り組み開始の時期に差が見られるが、NPOへの業務委託を協働のひとつの形として位置づけている点は共通する。聞き取り調査を通して委託事業を「協働」として位置づけることには次のような課題があることが確認された。第1に委託契約は地方自治法で定められている制度に基づいて行われるため、行政が発注しNPOが受注するという縦型の関係が強く、対等性の確保が難しいこと、第2に、行政が作成した仕様書に沿って業務を遂行するという「下請け」の要素が残ってしまうこと、第3に、NPOへの事業委託が行政のサービスの効率化、スリム化の手段として位置づけられ、NPOをコストの安い事業者として認知されている傾向がまだみられることである。そのため、行政と対等な立場で、仕様書作成の段階からの参画を求めるNPO側の不満の要因ともなっている。このような状況を改善するために、宮城県では平成14年度、15年度のNPOへの委託事業について担当課、NPO双方への評価を実施するなど、両者の対等な関係を構築するために、現状の委託契約制度の運用方法のさらなる見直しを行っている。平成17年度は宮城県の委託事業の評価方法、評価基準について検証するとともに、引き続き都道府県のNPOへの委託の実態を把握するためNPO担当課への聞き取り調査を行う。
|