2004 Fiscal Year Annual Research Report
食細胞によるアポトーシス細胞の貪食機構の生理的・病理的意義
Project/Area Number |
16601004
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
田中 正人 独立行政法人理化学研究所, 自然免疫研究チーム, チームリーダー (00294059)
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Keywords | マクロファージ / 死細胞 / MFG-E8 / 自己抗体 |
Research Abstract |
食細胞による死細胞の貪食に関与する分子として同定した、MFG-E8の食細胞結合領域であるRGD配列をRGEに変換したMFG-E8変異蛋白(D89E)を作製し、その機能を解析した。D89E蛋白はin vitroにおいて、多くの種類の食細胞による死細胞貪食を濃度依存的に阻害した。さらにD89Eの死細胞貪食に伴う抗炎症作用に対する影響を検討したところ、死細胞負食に伴うLPS刺激腹腔マクロファージによるIL-10産生が、D89E添加により濃度依存的に抑制されることが分かった。生体内における食細胞による死細胞処理の生理的、病理的意義を検討する目的で、この変異蛋白を経静脈的にC57BL/6マウスに投与したところ、用量依存的に抗リン脂質抗体や抗核抗体が産生されたが、死細胞の貪食を阻害する作用を持たないE1E2PT変異蛋白を投与しても全く自己抗体が産生されなかった。このD89Eタンパク投与による自己抗体の産生は、ex-vivoでアポトーシスを誘導した死細胞を同時に投与することによりその抗体価が上昇することから、変異タンパクの投与が食細胞による死細胞の処理を遅延させ、その結果、自己抗体産生が誘導されることが分かった。またD89E投与により産生が誘導された自己抗体の血清抗体価は投与終了後も持続的に高値を示し、腎臓の糸球体に免疫グロブリンの沈着が起こることも確認された。これらのことより、死細胞貪食が自己に対する免疫寛容の維持に重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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Research Products
(4 results)