2005 Fiscal Year Annual Research Report
食細胞によるアポトーシス細胞の貪食機構の生理的・病理的意義
Project/Area Number |
16601004
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
田中 正人 独立行政法人理化学研究所, 自然免疫研究チーム, チームリーダー (00294059)
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Keywords | マクロファージ / 死細胞 / 貪食 / 自己抗体 |
Research Abstract |
生体における食細胞による死細胞貧食の生理的意義を明らかにする目的で、一時的にマクロファージを誘導的に欠損することができる遺伝子改変マウスを作製した。ジフテリア毒素(DT)はヒトHB-EGFに結合して細胞内に取り込まれるが、マウスHB-EGFには結合しない。ヒトHB-EGF cDNAを細胞特異的なプロモーターのコントロール下で発現させた遺伝子改変マウスにDTを投与するとヒトHB-EGFを発現した細胞にのみDTが取り込まれ、その毒性により細胞が死に至る。我々は、このシステムを用いて各種マクロファージのtransient inducible ablationの系の確立を試みた。最初に生体内のマクロファージにおけるこのシステムの有効性を確認することも兼ねて、マクロファージ全般に発現しているlysozyme M遺伝子のプロモーターのコントロール下にhHB-EGF cDNAを挿入したノックインマウス(LysM-DTRマウス)を作製した。このマウスにDTを投与すると、脾臓、胸腺、肝臓に存在する食細胞の欠損を誘導できるが、高濃度のDT投与により96時間以内に個体死が起こることが分かった。死因を詳細に検討したところ、組織学的に肺に著明なうっ血と肺胞腔の減少が見られた。免疫組織学的検討により、肺胞マクロファージとともに二型肺胞上皮の欠損が見られ、それに伴って、肺胞洗浄液中のサーファクタントタンパクの著明な減少が見られた。このことからLysM-DTRマウスではマクロファージだけでなく、二型肺胞上皮にもhHB-EGFが発現し、DT投与による同細胞の消失により、ARDS様の呼吸不全が誘発されることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)