2005 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体ストレス誘導性アポトーシスのイニシエーター、カスパーゼ12の制御機構
Project/Area Number |
16601005
|
Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
森島 信裕 独立行政法人理化学研究所, バイオ解析チーム, 先任研究員 (40182232)
|
Keywords | アポトーシス / 小胞体ストレス / カスパーゼ12 / Bcl-xL / Bim |
Research Abstract |
小胞体内の環境は細胞内の種々の揺動によって影響され、その結果、立体構造が異常となったタンパク質が小胞体内に蓄積する場合がある。この状態を小胞体ストレスと言う。このストレスが過大になるとカスパーゼ12が活性化し、これが他のカスパーゼファミリーメンバーを活性化させて細胞をアポトーシスに導く。このようにカスパーゼ12はイニシエーターとして働くが、その活性化メカニズムは明らかではない。本研究課題は小胞体ストレスの発生とカスパーゼ12活性化を結ぶ経路の解明を目指したものである。 抗アポトーシスタンパク質、Bcl-xL(アポトーシス制御タンパク質群であるBcl-2ファミリーの中心的メンバー)を培養細胞中で過剰発現させると、小胞体ストレス存在下におけるカスパーゼ12の活性化及びアポトーシスが抑制されることが分かった。免疫沈降法によって細胞からBcl-xLを単離してくるとBH3-onlyタンパク質(アポトーシス促進の働きを持つBcl-2ファミリータンパク質)が三種類(Bim, Bid, Bad)、共沈降してきた。Bimは小胞体ストレスの発生に伴って局在に大きな変化が見られた。Bimは健常細胞中では細胞質ゾル内の重い膜画分に検出されたが、小胞体ストレスの発生に伴ってその一部が軽い膜画分、すなわち小胞体に移行して来ることが判明した。小胞体へのBimの移行はカスパーゼ12活性化の一つの引き金になっていることを示唆する結果を得た。また、Bidはカスパーゼ12活性化に伴って切断型となり、小胞体上においてカスパーゼ12活性化をさらに促進する増幅機能を持つことが示唆された。本研究課題により、これまでミッシングリンクとなっていたステップの一端が明らかとなった。
|
Research Products
(2 results)