2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16602007
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Research Institution | Kanazawa College of Art |
Principal Investigator |
村井 光謹 Kanazawa College of Art, 美術工芸学部, 教授 (50229944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 恒夫 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 教授 (00112491)
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Keywords | 木象嵌 / タルシア / イタリアルネサンス / スウェーデン |
Research Abstract |
イタリアルネサンスを中心としたタルシア(木象嵌)の現地調査、修復家・タルシア作家・研究者及びタルシア美術館等での取材、技法の実験を行い、その成果を報告書『表象と素材のはざまのタルシア(木象嵌)』(平成20年3月金沢芸術学研究会発行)にまとめた。 序論では、タルシアに迫る5つの観点(表現表象と素材表象、素材・技法、コーロとストゥディオーロ、タルシア批評、タルシアの写真撮影)を示した。第一章では「表象と素材のはざま」がなぜ問題になるかを問い、マエストロ・ディ・プロスペッティーヴァの出現の意味を説き、「素材と表象のはざま」はタルシア作家とタルシア研究を判断する尺度であることを示した。第二章では、タルシアの素材のなかから、特に緑の材と、ニスの問題を取り上げ、緑の材の特定が未決であることと、当時のニスはオイルニスが主流であったことを明らかにした。第三章では、タルシアの技法と道具を取り上げ、焦がしと薬品による着色についての新しい知見を示した。第四章と第五章では、インテリア装飾などの観点から教会のコーロと、ストゥディオーロのタルシアについて論じた。第六章ではマッテーオ・コラツィオのタルシア批評を紹介し、「表象と素材のはざま」にタルシアを認めるコラツィオを積極的に評価した。第七章では、薄明の現場とタルシアの写真撮影について述べた。 末尾に資料として、イタリア、フランスの木象嵌関連施設(美術館、学校、材料・道具店)について所見を述べ、次いで現代木象嵌の活性化に何が求められるかを要約した。最後に金沢美術工芸大学学生のタルシアについてのショートレポートを掲載した。
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