2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16602010
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
野村 仁 京都市立芸術大学, 美術学部, 教授 (00326183)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 隆男 京都市立芸術大学, 美術学部, 教授 (30181415)
砥綿 正之 京都市立芸術大学, 美術学部, 助教授 (50249372)
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Keywords | 宇宙開発 / 微小重力 / 造形実験 |
Research Abstract |
科学研究費補助金による研究の2年目(最終年度)に当たる本年度は,種々の実験,実験結果の解析,および微小重力空間において造形実験を実現するための具体的方法の検討を行った。 実験では,地上の重力のもとで重力による変形を押さえるため,水や水銀などの微小液滴に周波数を変えながら音波を当てて共鳴させることで,液滴の表面張力による振動の様子を映像で記録し解析した。また,地上の重力による影響を消去するため,水と同じ密度の液体(流動性イソパラフィンで分散させた磁性流体)を水中に保持し,それに強制振動を与え共鳴させることで,微小重力空間における液体の表面張力による振動を模擬することができた。この実験も,結果を映像で記録し変形の特徴を解析した。 昨年度に行った予備実験,および今年度に行った実験から,微小重力空間での液体を定常的に変形させて固化して持ち帰ることは,超音波発生装置などの機材を必要とするため国際宇宙ステーションで実現に移すことは困難であるが,空中に保持した液体の球に低周波の強制振動を与えて変形させることによる造形実験は,国際宇宙ステーションでの実現が容易であり,また,振動の与え方によっては微小重力空間を印象づける興味ある液体の運動を引き起こすことが可能であることがわかった。このような液体による造形実験を映像として記録するだけでも,一般の人に宇宙という環境を直感的に伝えるには十分可能であると考えられる。 国際宇宙ステーション日本実験棟「きぼう」の打ち上げが2007年〜2008年に予定されている。現在,宇宙航空開発研究機構では,打ち上げ後のきぼうにおける芸術実験の提案を募集しているので,我々も本研究の結果を踏まえた具体的な提案を応募し,微小重力空間での液体による造形実験の実現に向けて今後も活動を続けていく予定である。
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