2007 Fiscal Year Annual Research Report
チベット仏画制作村における伝統技材用法と伝統の継承に関する調査研究
Project/Area Number |
16602013
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
服部 等作 Hiroshima City University, 芸術学部, 教授 (50218509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥山 直司 高野山大学, 文学部, 教授 (50177193)
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Keywords | チベット / 仏教美術 / 工芸美術 / レプコン / 青海省 / 六月会 / 芸能 / アムド |
Research Abstract |
1.研究の目的: 本研究目的は、伝統的なチベットの美術工芸の技材と継承に関し青海省黄南藏族自治州同仁県のレプコン(Rebg-gong)地方の調査にある.当地は、チベット仏教の信仰に根ざす仏画、金属工芸、繍仏、金銅仏、泥塑像、仏塔、木工、バターの彫刻など工房や個人の家、寺院で分散し制作され続けて生産供給地と同時に集積地としての文化的特長がある.一方で中国辺境部への急速な経済発展がすすむと同時に伝統文化の変容、少数民族の漢族化などにより伝統文化の衰退がすすんでいるためチベット人の芸術と文化的な伝統の集積と諸相の調査が課題である.調査項目は、(1)仏教信仰を荘厳する金属工芸と絵画の伝統的な表象芸術調査、及び(2)寺院壁画、仏画(タンカ)芸術の現状調査である. 2.研究の成果: チベット文書と仏画の歴史的な資料が当地で見いだせ、2004〜2007年の間に3度、チベット工芸・絵画の調査を実施した.(1)当地の工芸文化の特長は、芸能活動と一体化している点である.各村の寺ではアムド地方では古い様式を伝える法舞及び夏に六月会が開催される.六月会は、龍舞、軍舞、神舞とそれぞれ特長がある踊りのなかで身体に工芸・装飾品をつけ年一度の伝統的な工芸品が出揃う場である.つぎに(2)仏画芸術は、寺の一部に遺されてきた壁画、個人の収蔵品を調査がある.ウートン上寺の仏画にある当地の縁起、ゴマル寺の小弥勒堂の仏教壁画、同寺の大弥勒殿の仏教壁画、同寺の大集会堂のツォンカパの伝記壁画といったチベット伝統の壁画が取り外し可能なパネル式の壁画の裏に温存されている事が判明した.現在の問題は、ここ寺の僧侶(画師)が原画に修復を加えているため、著しく変化が進展している.他に個人の収集家の存在があり、近世の数点(十一面観音菩薩像、護法神像など)の保存状態を確認できた.
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Research Products
(6 results)