2004 Fiscal Year Annual Research Report
ボーダーレス時代の物理経験教材の開発と経験評価の研究
Project/Area Number |
16604001
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
加藤 徹也 千葉大学, 教育学部, 助教授 (00224519)
|
Keywords | 物理教育 / 科学高等教育 |
Research Abstract |
大学教養程度の物理学基礎教育において、従来の段階的知識積み上げによらずに、予備知識のない学生が物理現象にダイレクトに取り組んで、そこから物理学的数理関係の考察に進む教育方法を検討した。小中高校の理科・物理教育でも重視されるエネルギーの概念を、対象とする物理現象において具象化し、次に半定量的な扱いへと進むという方策が第一に考えられる。光や音のエネルギーについては、学生はエネルギー伝送という概念は理解するものの、擬人化ならぬ「擬物化」概念を信じていて、これが正しい理解の契機となる疑問を封殺する傾向がある。そこで、従来なら物理学や機械工学・電気工学の専門課程でのみ扱われる、長い計算から導かれる結論を現象論的に早い段階で導入し、全体の議論の展開を単純化する教育方法を創案した。 波動については1:波の動くプロセスを図示し、運動エネルギーと弾性エネルギーの空間分布と時間変化を把握させる。2:媒質の運動に関し基礎的な運動論的関係式と弾性論的関係式に、「分布する力と粒子速度が比例する」という力学的インピーダンス関係を導入して二つのエネルギーを評価し、図からの理解を厳密に裏付ける、3:粒子速度に関する空間分布と時間変化の関係を考察し、伝播速度(1階の波動方程式)を定式化する、という方法を発表した。数式的表現を論じる前に、その結論を認識させる方針で多様な教育モジュールを開発・検討している。 それには正確な現象記録とその提示が必要である。1秒間に400コマの高速撮影が出来るCCDカメラは、眼では見えているが追いきれていない現象を記録するのに十分である。現代的な解析・提示方法はコンピューター(PC)を使うため、PCへデータを高速転送するというスペックを重視し、ボード・タイプの機器を選定し、モノクロ記録とした。力学で有名な「モンキーハンティング」実験の記録資料を作成し、教材として検討している。
|