2005 Fiscal Year Annual Research Report
ボーダーレス時代の物理経験教材の開発と経験評価の研究
Project/Area Number |
16604001
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
加藤 徹也 千葉大学, 教育学部, 助教授 (00224519)
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Keywords | 物理教育 / 科学高等教育 |
Research Abstract |
近年の風潮として、試験対策のための公式を理解・運用することを学生・生徒が重視しすぎるあまり、定性的な理解や物理現象そのものに関する経験が不足していることが多い。本研究では、1秒間に400コマの高速撮影ができるCCDカメラを導入して、日常的な物理現象を正確に理解させるためのスローモーションビデオ教材を開発した。この撮影速度は、コマや円板の回転(毎秒約100回転)には十分でないものの、多くの短時間現象をぶれのない画像としてとらえることができる。開発システムの特性として、太陽光のある普通の明るさであれば特殊な光源が不要で、1秒程度の現象を前後あわせて6秒程度撮影できるので特別なトリガも不要なことや、解像度が低い白黒映像ではあるものの、1回の撮影における総データ量が〜300Mバイト程度で、効率的な教材開発ができる点が優れている。本年度の研究で撮影やビデオ化の技術的な評価を行いながら、出来上がったビデオ映像数点を http://www.e.chiba-u.jp/〜tkato/BorderlessPhysicsEducation/ にアップロードした。特に物理教材として利用するにあたり、スローモーション映像における速度が正確に処理されるよう配慮し、8分の1倍速等の映像を用意した。一部の現象(ボールの落下など)についてはソフトウエアを用いて座標を算出し、物理法則に従うことを示した。高校・大学の物理授業に限らず、物理現象を考える多様な生徒・教師にとって興味深い映像を示しながら、その中の物理現象を考えさせるよう配慮した。上記サイトを通じて映像化のリクエストも受け付け、作成したものを公開する体制が整った。学習者の経験の評価法については未だ課題として残っているが、講義実践を重ねる中で検討する。
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