2004 Fiscal Year Annual Research Report
細菌芽胞の形成と発芽の阻害剤としての1,5-アンヒドロフルクトースの評価
Project/Area Number |
16613007
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
安部 淳一 鹿児島大学, 農学部, 教授 (80128404)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 雄二 鹿児島大学, 農学部, 助教授 (90253913)
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Keywords | 枯草菌 / 芽胞 / 形成阻害 / 発芽阻害 / 二次元電気泳動 / 蛋白質 |
Research Abstract |
実験にはBacillus subtilis NBR3009を供試菌とし、また肉エキス培地を標準培地とした。B.subtilisを培養する際に肉エキス培地、およびグルコースあるいは1,5-アンヒドロフルクトース(以下AF)を加え、まず培地のpHの生育に及ぼす影響を調べた。培地のpHはあまり高くないほうが生育をよく抑えた。これはAFがアルカリ性側でやや不安定であることが理由と考えられた。 次に上記の条件での培養の際の、培地中の炭素源の減少と芽胞の形成率を調べた芽胞形成は肉エキス培地そのものでは2日目に急激に始まり(〜80%)、6日目には約90%の形成率であった。1%グルコースを添加した場合、糖は24時間で消費されたが芽胞形成は3日目から始まった。そのときのパターンは肉エキス培地のみでの様子とほとんど同じで、1日ずれただけと考えられた。つまり、グルコースが消費される間だけ芽胞の生成がずれたと考えられた。一方、AFを加えた場合は3日目で芽胞形成が始まったものの3日目で5%、7日目でも10%であった。AFの培地からの減少は緩やかで、3日目で約25%、7日目でも8%程度が残存していた。これらより、AFが芽胞形成を阻害することが確かめられ、この阻害が糖の資化速度と関連していることが推測できた。 3種類の培地で培養し、超音波破砕した菌体からトリクロル酢酸沈澱法で菌体内蛋白質画分を、培地から同じく菌体外蛋白質画分を調製し、二次元電気泳動法で分離した。分離された蛋白質画像を画像として取り込み、比較検討したところ、菌体内蛋白質で30種程度、菌体外では7種程度AFで特異的に生産あるいは抑制される蛋白質を認めた。現在それらを解析中であるが、同定された蛋白質には、蛋白質の高次構造形成に関係するものや芽胞形成に重要な働きをするものなどが見出されており、今後さらに解析を続けていく。 本年度の研究計画で最後に予定していたヒトの細胞培養は予定通り進行中である。
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