2004 Fiscal Year Annual Research Report
小児思春期の過眠症における髄液オレキシン値の診断意義の確立と血清オレキシンの検討
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16614001
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
神林 崇 秋田大学, 医学部, 助手 (50323150)
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Keywords | ナルコレプシー / オレキシン / 小児・思春期 / HLA / ギランバレー症候群 / 特発性過眠症 |
Research Abstract |
【目的】(1)小児、思春期のナルコレプシーにおける髄液オレキシン値の有病正診率と疾患特異性を検討すると共に、ナルコレプシーにおける髄液オレキシンの低値が発症後どの時点で生じるものかを確定する。(2)オレキシン神経が障害されるために起こる2次性の過眠症の検討をすること。 【方法】2000-3年に過眠症の診断目的で患者あるいは家族の同意を得て採取された19歳以下の40例でオレキシンを測定した。臨床症状、睡眠脳波検査、HLAも検討した。また対照群の19歳以下の神経疾患132例についてもオレキシンを測定した。 【結果】脱力発作のあるナルコレプシーは13例で12例はHLA-DR2であり、オレキシンも低値であった。脱力発作の無いナルコレプシーは7例で5例がHLA-DR2であり、うち2例はオレキシン低値であった。特発性過眠症は6例で3例がHLA-DR2であり、オレキシン値は全例で正常値であった。反復性過眠症は4例ありオレキシンは正常値であった。過眠症のない脱力発作は2例あり、オレキシン中間値で、ニーマン、ピックCを合併していた。脱力発作のあるナルコレプシー患者は脱力発作の無いナルコレプシーや特発性過眠症の患者に比べて有意に低年齢であった。オレキシン神経が障害されたことによる2次性の過眠症7例ではオレキシン低値-中間値であった。炎症や脱随による症例では加療後にはオレキシン値は正常範囲に回復した。対照群の19歳以下の神経疾患ではほとんどの症例が200pg/ml以上の正常値であったが、ギランバレー症候群、頭部外傷、髄膜炎、てんかんなどで低値-中間値を示す疾患があったが鑑別は容易であった。 【考察】オレキシン低値は小児ナルコレプシーにおいても大人と同様に感度が90%以上と高値であった。若年齢(6-7才)や発症早期(3週間から2ヶ月)の症例でも低値を示したことから、年齢に関係なく発症直後でも鋭敏な検査であると考えられた。また睡眠脳波検査では入眠直後のレム睡眠の認められなかった発症早期の2例(4ヶ月以内)においてもオレキシンは既に低値であり、確定および早期診断に非常に有用であると考えられた。
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Research Products
(6 results)