2005 Fiscal Year Annual Research Report
職業運転手の体重増加と睡眠呼吸障害の関係、及びその治療効果に関する研究
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16614004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
佐藤 誠 筑波大学, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (50242409)
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Keywords | 睡眠呼吸障害(SDB) / 習慣性いびき(HS) / Witnessed Sleep Apnea / RDI / AHI / nCPAP / Oral Appliance(OA) / PVT検査 |
Research Abstract |
新潟県上越地区の男性事業用自動車運転士889例を対象に、20歳からの体重増加と睡眠呼吸障害(SDB)の関係、及びその治療効果に関する研究を行った。 方法:(1)アンケート調査、(2)在宅簡易睡眠呼吸検査装置によるスクリーニング、(3)睡眠ポリグラフィー(Polysomnography、以下PSG)検査による確定診断、(4)認知能力(Psychomotor vigilance task, PVT)検査による治療効果判定を行った。 結果:(1)753例(回収率85%)からアンケート調査の回答を得た。427例(57%)がいびきを指摘され、その内195例(26.2%)が習慣性いびき(Habitual Snorer、以下HS)を指摘されていた。睡眠中に無呼吸を指摘されているもの(Witnessed Sleep Apnea、以下WSA)は66例(8.8%)存在した。WSAの有無で比較すると、年齢に差はなかったが(46.3±9.8 vs 45.9±11.2歳)、WSA有群の64例97%がいびきを指摘されており、WSA無群よりBMI、20歳からの体重増加、ESSが有意に高かった(BMI:24.3±3.2 vs 23.4±3.0kg/m^2、体重増加:6.7±8.0 vs 4.7±6.9kg、ESS:6.7±3.0 vs 5.4±3.1)。(2)93例(アンケート調査でWSA有29例、WSA無44例、不明20例)に対して、在宅簡易睡眠呼吸検査を行ったところ、記録1時間あたりの無呼吸低呼吸数(Respiratory Disturbance Index、以下RDI)≧5のSDBは58例(WSA有群全例、WSA無群19例、不明群10例)であった。その内、RDI≧15は19例(WSA有群13例、WSA無群4例、不明群2例)、RDI≧30は9例(WSA有群6例、WSA無群2例、不明群1例)であった。(3)PSG検査目的に病院を紹介した50例のうち28例(56%)がPSG検査を受けた。全例が無呼吸低呼吸指数(Apnea Hypopnea Index、以下AHI)≧5のSASと診断され、その内13例は30>AHI≧15、8例はAHI≧30であった。18例がnCPAP (nasal Continuous positive airway pressure)療法、5例が口腔内装置(Oral Appliance、以下OA)療法を行った。(4)治療前後でPSG検査とPVT検査を行った14例(CPAP11例,OA3例)全例でAHIは5以下に改善し、PVT検査ではSlowest RRTとslopeが改善した。 結論:職業運転士のSDBの早期診断・早期治療は、交通災害防止効果が期待される。
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