2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16614011
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
大井田 隆 日本大学, 医学部, 教授 (40321864)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼板 佳孝 日本大学, 医学部, 講師 (40366571)
横山 英世 日本大学, 医学部, 助教授 (90120584)
原野 悟 日本大学, 医学部, 講師 (80256867)
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Keywords | 妊婦 / 睡眠障害 / Restless Legs Syndrome: / 疫学 |
Research Abstract |
わが国における妊婦のむずむず足症候群(RLS)の有病率を国際むずむず足症候群研究班(IRLSSG)による診断基準に基づいて再検討し、睡眠障害ならびに生活習慣や社会経済的状態、妊娠状況などの関連要因を疫学的に明らかとすることを目的に、全国規模の調査を実施した。 調査は、社団法人日本産婦人科医会の全国調査定点である940施設の産科医療機関のうち、最終的に調査協力の獲られた344施設で実施した。対象者は当該産科医療機関を受診した、妊娠が確定した再診の妊婦とし、初診の者、妊娠未確定の者および妊娠継続を望まない者は除外された。対象者には受診待ち時間に自記式調査票に回答記入してもらい、密封封筒により回収した。19,649件が回収され、そのうち19,441件が有効回答として解析された。 妊婦のRLS有病率は全体で2.9%となり、30歳代を最小としてU字形を示した。RLS群の平均睡眠時間は非RLS群に比べて有意に短く、各睡眠問題とRLS有病率とには有意な関係が観察された(p<.0001)。また、第3トリメスターで有病率は有意に増加していた(p<.0001)。多重ロジスティック回帰分析では、RLSと妊娠第3トリメスター(OR 1.92)、経産婦(OR 0.76)、喫煙(OR 1.54)、主観的睡眠評価(OR 1.68)、入眠障害(OR 2.44)、早朝覚醒(OR 1.80)、日中の過剰な眠気(OR 1.89)とに強い関連があった。 IRLSSGによる診断基準に基づくと、日本における妊婦のRLS有病率は以前の報告ほど高くなく、一般日本人のそれとほぼ同じであり、西洋での有病率より低いことから遺伝的背景が大きいと考えられた。一方で、他の妊婦での報告と同様に第3トリメスターや初回妊娠での率の増加や、一般人での報告と同様に入眠障害とDMSはRLSとの強い関連といった特徴が認められ、RLSの発生機序解明と妊婦の睡眠問題解決への糸口となるものと考えられる。
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